日本臨床外科学会雑誌
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術後高CO2血症が遷延した腹腔鏡下胆嚢摘出術の2例
中根 茂宗田 滋夫橋本 純平吉川 幸伸森 匡大森 健大嶋 正人
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1369-1373

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抄録

術後高CO2血症が遷延した腹腔鏡下胆嚢摘出術の2例を経験したので報告する.症例1: 44歳の男性.右季肋部痛と黄疸を繰り返していた.胆石を指摘され,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中PETCO2はそれほど高くなかったが覚醒中にPETCO2は上昇し術後3日後まで続いた.約1年7カ月後肺炎と無呼吸のため入院した.この入院中にミトコンドリア病による中枢性の肺胞低換気と診断された.約2年後に下肢筋力低下のため再入院した.その後呼吸状態は悪化し挿管され,最後は十二指腸潰瘍からの穿孔性腹膜炎にて死亡した.症例2: 65歳の女性で症例1の母親である.背部痛と右季肋部痛,全身倦怠感を訴えていた.腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したが息子と同様の術後経過を示した.睡眠時の無呼吸に対し夜間経鼻的持続陽圧呼吸が行われ睡眠時無呼吸と倦怠感は改善した.

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