1998 年 59 巻 5 号 p. 1378-1381
外傷性膵炎による稀な結腸狭窄の1手術例を経験した.患者は45歳,男性.心窩部痛,背部痛を主訴とし,精査にて慢性膵炎および下行結腸狭窄を認めた. 3年前に外傷性膵炎の既往があり又,結腸狭窄部の生検繰り返すも悪性細胞は認められず膵炎による結腸狭窄と術前診断した.手術所見では,膵体尾部は横行結腸・下行結腸・脾臓と一塊となり腫瘤形成していた.膵離断,膵石除去後胃膵吻合施行した.結腸狭窄の原因として,稀ではあるが膵炎も念頭に入れる必要があると考えられた.