日本臨床外科学会雑誌
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横行結腸癌術後大動脈周囲リンパ節再発に対しリンパ節郭清を行った1例
春日井 貴雄片岡 誠田中 宏紀呉山 泰進
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1998 年 59 巻 6 号 p. 1585-1587

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抄録

症例は64歳女性,平成7年9月26日横行結腸切除術D3郭清を施行.外来にて経過観察中平成8年3月CEA, CA19-9の上昇を認めたため,精査を行ったところW-CTにて左腎静脈のレベルの大動脈左側に腫瘤影を認めた. MRIでは大動脈周囲リンパ節が腎静脈の高さから総腸骨動脈分岐部にかけて連続した腫大がみられ,結腸癌の大動脈周囲リンパ節への転移が強く疑われた. Gaシンチによる検索では他臓器にはあきらかな転移はみられなかった.以上の所見より大動脈周囲リンパ節のみの再発で,手術適応が有ると判断し,平成8年7月1日大動脈周囲リンパ節郭清術を行い,術後28日にて退院した.退院時のCEA, CA19-9は著明に低下した.患者は術後16カ月経過し明らかな再発の徴候を認めることなく,術前と同じ仕事に復帰しており, QOLは良好に保たれている.大腸癌術後の大動脈周囲リンパ節再発に対しても症例を選べば積極的な手術適応があると考え報告した.

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