日本臨床外科学会雑誌
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高齢者(80歳以上)胃癌症例の予後に関する検討-手術例と非手術例の比較検討-
山本 篤志河野 博光船越 真人大城 久司
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キーワード: 胃癌, 高齢者, 予後
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1998 年 59 巻 8 号 p. 1984-1988

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抄録
1989年1月から1996年12月の間に経験した高齢者(80歳以上)胃癌38例(手術例16例,非手術例22例)の予後を検討し手術の是非に関して考察した. 3年生存率は,早期胃癌では,手術例100%,非手術例(EMR例) 75.0%,非手術例(経過観察例) 51.4%であったが有意差は認めなかった.進行胃癌では,手術例57.8%,非手術例11.1%で,両者には統計学的有意差を認めた(p<0.05).根治度別3年生存率は,根治度AまたはB9例が100%,根治度C7例26.8%で統計学的有意差を認めた(p<0.05).根治度C例と進行胃癌非手術例の3年生存率には有意差を認めなかったが, 50%生存期間は根治度C例19カ月,進行胃癌非手術例4カ月と根治度C例で生存期間の長い症例が多かった.早期胃癌では非手術例でも良好な予後が得られる可能性があるが,進行胃癌では根治度AまたはBで良好な予後が得られる可能性があるものの,根治度Cでは短期間の生存期間が延長できるだけであり慎重に手術適応を決定すべきである.
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