日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
長期生存からみた根治度C胃癌症例の問題点
山村 義孝小寺 泰弘清水 泰博鳥井 彰人平井 孝安井 健三森本 剛史加藤 知行紀藤 毅
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 59 巻 8 号 p. 1977-1983

詳細
抄録
根治度C胃癌552例中35例(6.3%)が術後5年以上生存した.この長期生存例の特徴と癌遺残の判定に伴う問題点について検討した.根治度Cの因子別の5年生存率(以下, 5生率と略記)は,切除断端癌遺残7.5% (268例), T4遺残7.1% (28例),肝転移4.4% (91例),転移リンパ節遺残3.7% (190例),腹膜転移1.2% (249例)であった.根治度Cの因子が1因子である症例の5生率は9.7% (329例), 2因子例は1.8% (168例), 3因子以上の症例は0% (55例)であり, 5生率は合併する因子の数と相関した. 5年生存の理由は,化学療法の効果(40.3%),癌遺残についての肉眼判定の誤り(22.6%),腫瘍の発育の遅延(14.5%),組織判定の材料が不適当(14.5%),癌遺残部の切除(1.6%),ほか(6.5%)であった.以上より,手術に際しては癌遺残の因子を出来るだけ減らすよう努めるべきであり,その判定には肉眼所見だけではなく適切な材料による組織所見も加味すべきであると思われた.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top