日本臨床外科学会雑誌
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空腸迷入膵を合併したS状結腸原発悪性リンパ腫の1例
船田 幸宏中野 眼一菊池 隆一内田 雄三
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2339-2343

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抄録

大腸原発悪性リンパ腫,小腸迷入膵はともに稀な疾患である.今回われわれは,空腸迷入膵を合併したS状結腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は71歳女性.主訴は排便時出血.消化管精査を行ったところ, S状結腸に潰瘍を伴う腫瘍を認め,生検で悪性リンパ腫の診断を得た.全身検索では他に異常なく, S状結腸原発悪性リンパ腫の診断にて, S状結腸切除術を施行した.術中,空腸に1cm大の腫瘤を2個認め,局所切除術を施行した. S状結腸の腫瘍は4.0×3.5cm大であり,病理組織学的にはdiffuse medium cell typeの悪性リンパ腫であった.深達度はssでリンパ節転移は認めなかった.免疫組織化学的検索からB-cell typeと診断された.空腸の腫瘤はHeinrich II型の迷入膵であった.術後1年10カ月の現在,再発の兆候なく,外来にて経過観察中である.

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