日本臨床外科学会雑誌
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イレウスを契機に診断された胆嚢胃瘻の1例
安藤 英也長谷川 洋小木曽 清二西尾 秀樹村田 透長澤 圭一
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2370-2375

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抄録

内胆汁瘻の一つである胆嚢胃瘻は比較的まれである.今回われわれはイレウスを契機に発見された1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は77歳女性で,悪心嘔吐を主訴に来院した.腹部単純写真で, niveauとpneumobiliaを認め,腹部超音波検査では胆嚢内に結石像を認めたため,胆石イレウスが疑われ入院となった.しかし腹部CTで腸管には結石像は不明で胆石イレウスは証明できなかった.胃透視では明らかな瘻孔は認めなかったが,胃内視鏡検査で胃角部小彎前壁側に瘻孔を認め同部より造影を行ったところ胆嚢が造影された.また, ERCPでは造影剤が胆嚢より瘻孔を介して胃前庭部へ漏出するのを認めた.以上より胆嚢胃瘻と診断し胆嚢摘出術,瘻孔閉鎖術を施行した.

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