著者らは, immature ovarian teratoma未熟度[G 1]由来のteratomatosis peritoneiの1症例を, 5年の間に6回の腫瘍摘出手術を行い,最終術後12年を経て再発無く,完治と認めたので報告する.
繰り返した再発播種は,毎常純粋に3胚葉より成るteratomaで,手術を重ねるうち第4回目以降はmaturation (成熟) [G 0]が認められた.
本症は腹膜播種の中で,似て非なるgliomatosis peritoneiとは形態学的にも生物学的にも性格が大きく異なる.著者らは,本症のようなteratomatosis peritoneiは,腹膜播種の中で独立したクライテリアを与えるべきと主張し,重要な基礎的1症例として提示し,度重なる積極的腫瘍摘出術と,補助的集学治療の必要性を説いた.