日本臨床外科学会雑誌
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子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアの1例
豊田 和広小川 喜輝有田 道典弓場 通正
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1999 年 60 巻 1 号 p. 216-219

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抄録

イレウスの原因として内ヘルニアは多くはないが,このなかでも非常に稀な子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアを経験した.症例は54歳,女性で腹痛,嘔吐を主訴に入院した.イレウス管を挿入し保存的加療を開始したところ,排ガス・排便を認めたが,症状の改善は不十分であった.イレウスの原因は明らかではないが,イレウス管造影にて回腸に狭窄部位を認めたため,入院11日目に手術を施行した.開腹所見では回腸末端から約25cm口側の回腸が左子宮広間膜の異常裂孔に嵌頓していた.嵌頓を解除後異常裂孔を縫合閉鎖した.子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの術前診断は困難ではあるが,開腹既往のない経産婦の原因不明のイレウスに遭遇したときは,本疾患も念頭におくべきである.

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