日本臨床外科学会雑誌
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喘息様呼吸困難を主訴とした巨大食道裂孔ヘルニアの1例
石崎 雅浩岡野 和雄
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1999 年 60 巻 10 号 p. 2632-2636

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抄録
今回われわれは,喘息様呼吸困難を主訴として来院した食道裂孔ヘルニアの症例に対し手術を行い良好な結果を得たので報告する.
患者は,高度の亀背を有する80歳の女性で徐々に進行する労作時の呼吸困難を主訴として来院した.労作時に出現する呼気の延長を伴う喘息作の喘鳴を有していた.術前の肺機能検査では1秒率59.8%,%VC 49%と混合性の呼吸障害を認めたが,内視鏡検査では逆流性食道炎の所見は全く認めなかった.ヘルニア嚢の肺および縦隔への圧迫による呼吸困難と判断しヘルニア根治術を行った.食道裂孔は5×4.5cmと開大しヘルニア嚢は7×10×6cm大の大きさであった.短縮した食道を剥離し食道胃接合部を腹腔内に戻しヘルニア門を閉鎖した.術後経過は良好で,術前に認められた呼吸困難は消失し良好な結果を得た.
ヘルニア嚢の圧迫による心肺機能障害などの症状を呈する場合も,よい手術適応になると考えられた.
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