日本臨床外科学会雑誌
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抗結核療法中に穿孔をきたした小腸結核の1例
村上 望平野 誠宇野 雄祐野澤 寛橘川 弘勝増田 信二
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1999 年 60 巻 11 号 p. 2924-2928

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抄録
小腸結核は,結核症の減少とともに日常診療においては稀な疾患となっている.今回われわれは,肺結核症の治療中に腸結核が穿孔した症例を経験したので報告する.症例は51歳男性で,下腹部痛の精査にて回腸終末部に結核による活動性潰瘍を認めた.肺結核も認め,抗結核療法を開始したところ下腹部痛が増強したため,汎発性腹膜炎の診断にて開腹を行った.開腹すると,回腸末端部から60cmの小腸に穿孔を認め,腸液の漏出に伴う汎発性腹膜炎の状態であった.また腸間膜の臓側腹膜には小粟粒大の結核結節が散在していた.回腸80cmと回盲部切除術を施行した.経過は良好で術後28日目に結核治療目的に転院となった.結核治療中においては腸結核およびその穿孔の危険性も念頭において治療を行うことが肝要と思われた.
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