日本臨床外科学会雑誌
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特殊な型のイレウス診断における腹部超音波検査の有用性
井戸 弘毅利光 鏡太郎木村 圭一佐藤 知洋貝塚 真知子林 理佐子寺田 信國
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3111-3116

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抄録
最近7年間に当科に入院したイレウス症例のうち一般的な原因となる術後癒着性,癌性腹膜炎,麻痺性,および原因不明を除いた,特殊な型のイレウス症例65例を対象に,その診断における腹部超音波検査の有用性について検討した.大腸癌イレウスではほとんどの症例で大腸の拡張が認められ,また, pseudokidney signと呼ばれる腫瘍自体の描出も60%で可能であった.外ヘルニア嵌頓イレウスでは小腸の拡張と腹壁外に脱出した腸管の描出により診断可能であった.腸重積症はmultiple concentric signにより診断は容易であった.小腸アニサキス症では比較的多量の腹水とcorn signで診断できた.輸入脚閉塞症では輸入脚に限局した腸管拡張と肝内胆管の拡張が特徴的であった.腹部超音波検査は内ヘルニア,腸捻転を除きほとんどの特殊な型のイレウス症例の診断に有用であり,イレウスの診断においては必須の検査法と考えられた.
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