日本臨床外科学会雑誌
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膵切除術後に発生したaeromonas hydrophila感染症の1例
高島 健向谷 充宏平田 公一岡田 洋次郎八十島 孝博伝野 隆一
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3117-3121

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抄録
河川,海での外傷や生魚介類摂食の既往のない64歳男性に発症したAeromonas hydrophila(以下, AH)感染症の1例を報告した.十二指腸乳頭部癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行. 1 PODに突然40°C以上の発熱,頻脈が出現し,白血球数の著明な減少および胸部X線写真でびまん性浸潤影を認めたためsepsis, ARDS, DICを疑った.ICUにて集中治療管理を行った結果, 5PODには症状の改善傾向を認めた.発症時の血液培養にてAHが検出された.AH感染症は比較的まれであるが, Major Surgery術後や肝硬変・糖尿病併存例など感染防御能低下時には重篤な敗血症にいたることがあること,ペニシリン系および第1世代セフェム系抗生物質には低感受性であることなど,注意すべき外科術後感染症と思われた.
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