日本臨床外科学会雑誌
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幽門狭窄を伴う進行胃癌により食道破裂を生じた1例
吉田 達也菅野 範英江渕 正和丸山 道生長浜 雄志
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キーワード: 食道破裂, 胃癌, 幽門狭窄
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1999 年 60 巻 2 号 p. 399-403

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抄録
幽門狭窄を呈する進行胃癌が原因と考えられる食道破裂を経験し,保存的治療の後にリンパ節郭清を伴う一期的切除再建術を施行したため報告する.症例は51歳の男性で,嘔吐の後に激しい胸痛・呼吸苦で発症した.入院時,チアノーゼを呈し,胸部単純X線上胸水を伴う左気胸を認め,緊急内視鏡により食道破裂の診断となったが,同時に胃に進行癌を認め,また全身状態も不良であったため,一時保存的に経過をみた.その過程で胸部CT・再度の内視鏡を施行し,食道破裂の確定診断および胃癌の病理組織学的診断を得て,発症後21日目に胃全摘および下部食道切除・脾合併切除術・D2郭清・胸腔内Roux-en-Y再建術を一期的に施行した.術後は比較的順調に経過し,術後補助化学療法を施行した後に退院した.原因に胃癌を有すると思われる食道破裂は検索範囲内では報告例がなく,貴重な症例であると思われたため報告した.
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