抄録
症例は63歳の男性,左季肋部痛を主訴に前医を受診し,上部消化管造影,胃内視鏡検査,腹部CTにて壁外性巨大胃腫瘍を認め,手術目的で当科紹介,入院となった.諸検査にて胃平滑筋肉腫が強く疑われた.腫瘍が巨大で周囲臓器への浸潤が疑われ,手術時の大量出血を回避する目的で,手術前日に血管造影を施行し栄養血管である左胃動脈,脾動脈,後胃動脈,短胃動脈,左胃大網動脈,左横隔膜下動脈の塞栓術を行った.これにより少ない術中出血量で,脾摘出術を含む胃全摘術を終了し得た.術後経過は良好で現在のところ再発を認めず外来通院中である.