抄録
長径20cmの胃stromal tumorの1切除例を経験した.症例は77歳の男性で,上腹部の腫瘤を主訴に入院し,腹部CT検査で上腹部の巨大な嚢胞性疾患が疑われた.術中所見で腫瘤は胃体部と連続し,一部で膵への浸潤が疑われたため,胃部分切除と膵体尾部切除を行い,腫瘤を摘出した.腫瘍の明らかな残存はみられなかった.腫瘤は大きさ21×20cm,重量2.4kgで病理組織学的に胃平滑筋肉腫が疑われた.免疫組織学的検索により筋漂性および神経原性のマーカーは陰性で,CD 34が陽性を示し,胃 stromal tumor, uncommitted typeと診断された.現在,明らかな再発の兆候は認められない.消化管のstromal tumorは最近確立された概念であり,本疾患の臨床的特徴を明らかにするためには症例の集積が必要と考えられる.