日本臨床外科学会雑誌
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術前診断が可能であった上行結腸癌による成人腸重積症の2例
都筑 重利渡辺 光久太田 心平保坂 成俊
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1999 年 60 巻 2 号 p. 456-460

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抄録

術前診断が可能であった上行結腸癌による成人腸重積症の2例を経験したので報告する.(症例1)61歳男性.主訴は右下腹部痛.入院時腹部超音波検査・腹部CT検査にて腸重積が疑われ,注腸造影検査にて腸重積と診断し注腸にて整復した.整復後先進部に腫瘤を認め,大腸内視鏡検査にて2型の癌腫と診断,待機的に根治術を行った.病理組織学的には4.2×3.7cm,高分化型腺癌,ss.ly1,v1,n(-)であった.(症例2)44歳女性.主訴は上腹部痛.腹部超音波検査・腹部CT検査にて腸重積を疑い,注腸検査を施行し腸重積と診断した.注腸整復時先進部に腫瘤を認め,大腸内視鏡検査にてポリープと1型癌腫を認めた.結腸右半切除術を行った.病理組織学的には2.8×2.2cm,pm,ly2,v2,n1(+)であった.急性腹症では本疾患も念頭に診断にあたり,その際超音波検査,CT検査は有用であり必須の検査と考えられた.

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