日本臨床外科学会雑誌
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進行胃癌患者に認められた脾線維腫の1例
小出 紀正水野 伸一浅野 英一高橋 泰夫下地 英機星 昭二
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1999 年 60 巻 3 号 p. 790-794

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抄録
進行胃癌に合併した脾線維腫を経験したので報告する.
症例は38歳,女性.心窩部痛を主訴に当院を受診し,上部消化管造影検査および上部消化管内視鏡検査で胃体上部から幽門部に至る4型進行胃癌と診断した.腹部超音波検査で脾腫があり,腹部CT検査では脾臓に造影効果のない境界明瞭な低吸収域を認めた,胃癌,脾転移の疑いの診断で手術を施行した.病理組織学的には胃病変は低分化型腺癌,脾病変は核異型のない線維細胞の増生した原発性脾線維腫であった.
本邦報告例から,胃癌の脾転移巣のCT像は内部不均一な低吸収域が特徴であると考えられ,内部均一な低吸収性腫瘤像を呈した自験例は原発性脾腫瘍も疑わなければならないと考えられた.
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