日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
十二指腸潰瘍穿孔症例に対する腹腔鏡下大網被覆術の有用性に関する臨床的検討
白井 善太郎山崎 繁通谷 博樹
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 6 号 p. 1454-1459

詳細
抄録

1987年8月から1997年7月までに十二指腸潰瘍穿孔に対して腹腔鏡下大網被覆術を施行した6例(腹腔鏡手術群)を中心に,開腹大網充填術を行った24例(開腹手術群)と比較検討した.発症から手術までの平均時間は,腹腔鏡手術群で22.3時間,開腹手術群で17.8時間と腹腔鏡手術群で長時間を有していた.入院時の白血球数の平均値は,腹腔鏡手術群13.250/μl,開腹手術群11.943/μlで両群間に差はみられなかった.手術時間は,腹腔鏡手術群で平均124分,開腹手術群で平均108分であり,手術から経口摂取開始までの平均期間は,腹腔鏡手術群6日,開腹手術群7日と両群間に差はなかったが,入院期間は腹腔鏡手術群で平均11日,開腹手術群では14日と開腹手術群で長期間であった.十二指腸潰瘍穿孔に対する腹腔鏡下大網被覆術は,開腹大網充填術と同等の効果が得られるばかりでなく,術後疼痛の緩和,術創の縮小化などの点で有用と考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top