日本臨床外科学会雑誌
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吊り上げ法による二孔式腹腔鏡下虫垂切除術の検討
田村 功鈴木 紳一郎深野 史靖塩澤 学長 晴彦
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1460-1463

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抄録

1996年12月から1997年6月までの間に,虫垂炎の診断にて,吊り上げ法による二孔式腹腔鏡下虫垂切除術を50例試み, 47例に施行できた.適応は同期間に手術適応となる虫垂炎全例で,同期間の開腹移行は限局性腹膜炎による回盲部腫瘤形成の3例であり,重篤な合併症は認めなかった.手術時間は47.4±23.4分で,開腹下手術と有意差を認めず,術後入院日数は4.0±0.9日と約半減した.開腹下手術では3例に創感染を認めたが二孔式腹腔鏡下手術での経験はない.本術式は婦人科疾患などとの鑑別が容易であり,確実な診断・治療が行えること,低侵襲,創感染を起こしにくく美容上有利という腹腔鏡下虫垂切除術の特徴を損なうことなく,手術時間・経済性という欠点を充分に補えた.
また,吊り上げ法,および二孔のみで施行された虫垂切除術はこれまで報告がなく,本法は,虫垂炎に対し安全な術式になり得ると考えられた.

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