日本臨床外科学会雑誌
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原発性肝癌外科治療における術前computed tomography during arterioportographyの意義
林 貴史鈴木 一則小西 伊智郎佐藤 尚喜山代 豊山口 由美広岡 保明貝原 信明
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1464-1468

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抄録

肝細胞癌の外科治療における術前CTAPの意義を検討するため, CTAPでのみ指摘された小病変をもつ18症例(CTAP陽性群)とCTAPでも同定されなかった部位に術後出現した再発病変をもつ8症例 (CTAP陰性群)の術後経過と臨床所見を比較した. CTAP陽性再発群は11例で, CTAP陽性無再発群は7例であった.再発までの期間はCTAP陽性再発群が平均8.7カ月であったのに対しCTAP陰性再発群では16.6カ月とCTAP陽性再発群が有意に短かった. CTAP陽性群においてCTAP以外の各種画像診断で同定された腫瘍数は再発群では単発4例,多発7例で,無再発群では全例単発であった. CTAP陽性再発群における再発部位は,単発再発した6例中5例がCTAPで摘指された病変と同一区域で,複数個再発した5例中4例も病変と同一区域を含んで再発した.他検査で指摘された多発病巣以外の小病変がCTAPで描出されるような症例では,術後再発の可能性が高いのでCTAPを含めた定期的な画像診断が必要と考えられた.

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