日本臨床外科学会雑誌
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MRIが診断に有用であった外傷性右横隔膜ヘルニアの1例
山田 慎森田 敏弘堅田 昌弘佐治 重衡
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1510-1513

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抄録

MRIが診断に有用であった,外傷性右横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は71歳男性で,転倒して右前胸部を打撲し,上腹部痛,嘔吐を主訴に来院した.胸部単純X線で,右横隔膜面の挙上と右胸腔内に消化管ガス像を認め,右横隔膜ヘルニアと診断した.さらに,ヘルニア内容,ヘルニア門の大きさを診断するため胸部MRIを施行したところ,上行結腸から横行結腸が直径2cmのヘルニア門に収束し,胸腔内に脱出している明瞭な所見が得られた.緊急開腹術を施行すると,横隔膜前方の腱状部より上行結腸および横行結腸の一部と大網が右胸腔内に脱出しており,ヘルニア門は3×2cmの大きさであった.
MRIは横隔膜ヘルニアにおいて,脱出臓器の同定とその頭尾方向の連続性の描出に優れ,かつ非侵襲的であり,横隔膜ヘルニアの診断に極めて有用な検査と考えられた.

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