日本臨床外科学会雑誌
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2期的手術で治癒せしめた慢性腎不全合併食道気管支瘻の1例
森脇 義弘国崎 主税上田 倫夫秋山 浩利亀田 久仁郎嶋田 紘
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1524-1527

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抄録

維持透析中の慢性腎不全患者で,食道破裂,縦隔炎から食道気管支瘻を形成した症例に対して, 2期的手術を選択し救命し得たので報告する.症例は, 1990年から人工透析を導入している55歳,女性. 1995年3月7日,上部消化管内視鏡検査後の食道破裂および縦隔炎のため保存的治療を受けていたが, 6月から食道気管支瘻が明らかとなり当科へ入院となった.下部食道左側に巨大な憩室様膿瘍腔と左気管支(B6, B10) との間の瘻孔を認めたが,炎症反応,低栄養状態,心機能,呼吸機能低下など全身状態不良であったため,高カロリー輸液を併用した経腸栄養,輸血により全身状態改善を図り,手術は2期的に行った.初回手術は1995年9月19日,左第7肋間開胸による胸部食道抜去,頸部食道瘻,胃瘻造設術,膿瘍腔内腔からの縫合閉鎖,生体用接着剤による接着被覆,再建手術は11月21日(初回手術後63病日),亜全胃管を用いた胸骨後経路による再建術を施行した.術後経過は良好で,再建手術後第37病日軽快退院となった.

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