日本臨床外科学会雑誌
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出血シンチグラフィーが診断上有用であったgastrointestinal stromal tumorの1例
小川 勝鷲澤 尚宏加瀬 肇小林 一雄伊原 文恵津布久 雅彦
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1557-1561

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抄録

症例は64歳の女性.約4年間の長期にわたり繰り返す原因不明の高度貧血で入院した.上部消化管造影・内視鏡,注腸造影,下部消化管内視鏡などで胃潰瘍以外に高度貧血をもたらす原因が認められず診断が遅れた.出血源の検索に99mTc-RBC出血シンチグラフィーを施行したところ小腸腫瘍が疑われた.小腸造影,腹部X線 CT スキャン,上腸間膜動脈造影より空腸腫瘍が確認され,内視鏡下生検の結果,空腸平滑筋腫と診断された.腫瘍は Treitz 靭帯から約15cmに存在する50×45mmの境界明瞭な腫瘤であった.小腸部分切除を行い,組織検査でgastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断された.その後,貧血の再発はなく腫瘍の転移も認められていない.以上より再燃を繰り返す原因不明の貧血に対しては出血シンチも有効な検査方法であると思われた.

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