日本臨床外科学会雑誌
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腹腔ドレーンの圧迫に起因する総肝動脈瘤破裂に対してGRF glue®の被覆が奏効した1例
竹村 真一鈴木 正徳海野 倫明遠藤 公人内山 哲之松野 正紀
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1591-1595

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抄録

GRF glue® は新しい生体接着剤で,現在汎用されているフィブリン糊とは異なり血漿成分を材料としないことから各種感染症の発生を懸念することなく,かつ長期間の創面の被覆効果が期待できる.当初, A型の解離性大動脈瘤手術時に解離腔に充填して用いられ,従来のフエルト法に変わる簡便法としてpoor risk症例に応用されていたが, 1996年1月からは肝切除時の肝切離面における止血補強としての保険適応も追加され,腹部外科領域においても使用しやすい環境が整った.今回,75歳女性の肝門部胆管癌症例に対して肝左葉切除術を施行し,第7病日に腹腔ドレーンによる総肝動脈の圧迫壊死に伴う仮性動脈瘤からの破綻性出血を併発,同部からの再出血予防にGRF glue®の被覆が有効であった症例を経験したので報告する.

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