1999 年 60 巻 6 号 p. 1596-1600
S状結腸癌の術後6年目に肝右尾状葉に転移を来たし,肝右葉+右尾状葉切除術を施行し,さらにその4年後に左尾状葉に転移を認め,肝左尾状葉切除を行った症例を経験したので報告する.症例は58歳,女性. 1986年S状結腸癌にてS状結腸切除術施行した. 2年後に右肺下葉に転移を来たし,右肺下葉切除術を施行した.以後外来で経過観察をしていたが,初回手術より約5年後の1991年には, CEAが高値を示し, CTおよびUSでも肝右尾状葉に孤立性転移を認めたため, S状結腸癌の孤立性転移と診断し,肝右葉+右尾状葉切除術施行した.その後CEA値は正常化したが,その初回手術より約8年8カ月後の1994年に, CEAが93.5と再度上昇し, CTとMRIで肝左尾状葉に孤立性転移を認めたため,肝左尾状葉切除を施行した.その後現在まで,再発の兆候は認めていない.