日本臨床外科学会雑誌
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小肝嚢胞腺癌の1例
大石 均高野 靖悟河野 悟中田 泰彦川上 新仁郎岩井 重富
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1601-1605

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抄録

症例は34歳女性,上腹部痛の精査で施行した腹部超音波検査で,肝左葉内側区域 (S4) に直径2×2.5cmの乳頭状発育を伴う嚢胞性病変を指摘され当科に入院となった.病変が小型であったが,総合画像診断では肝嚢胞腺癌を強く疑いS4部分切除術を施行した.切除標本の病理組織診断では,嚢胞壁は一層の円柱上皮で被覆された肝嚢胞腺腫で,軽度の異型を示す部分より突然に乳頭状の腺癌となり,肝嚢胞腺腫より発生した嚢胞腺癌と診断した.病変は嚢胞内に限局していた.この経験より,肝嚢胞性疾患の嚢胞内小病変には常に悪性を考慮に入れた検索が必要であると考える.

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