1999 年 60 巻 6 号 p. 1618-1622
胆道系悪性腫瘍の切除後再発形式の一つにPTBD瘻孔への播種性転移があるがその切除例の報告は少ない.今回腹壁切除,肝部分切除にて切除し得た1例を経験したので,本邦報告例の集計を加え報告する.症例は75歳,男性.結節型中部胆管癌にてPTBD施行後40日目にPpPDを施行した.組織学的には中分化型管状腺癌,深達度ss, n(-) であった.7カ月後血清CA 19-9の軽度上昇と共にUSにてPTBD瘻孔瘢痕直下に低エコー腫瘤を認めた. CTでは腹壁から肝S3 にかけて造影効果のない低吸収域腫瘤を認めた. PTBD瘻孔への播種性転移と診断し腹壁切除,肝S3切除を施行した.切除標本ではPTBD瘻孔瘢痕に一致して腹直筋および肝S3に浸潤する転移巣を認めた.術後6カ月の現在再発兆候なく生存中である.胆道癌術後はPTBD瘻孔部再発も念頭において経過観察を行うべきである.