日本臨床外科学会雑誌
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肝細胞癌術後孤立性脾転移の1例
片桐 聡高崎 健次田 正山本 雅一大坪 毅人秋山 和宏
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キーワード: 肝細胞癌, 脾転移, 脾摘
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1647-1652

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抄録

今回われわれは肝細胞癌術後の孤立性脾転移例を経験したので報告する.症例は69歳,女性. 1993年11月16日肝右葉直径13cmの肝細胞癌の診断にて右三区域切除施行した.病理組織診断は単結節周囲増殖型のtrabecular patternを呈するmoderatly differentiated hepatocellular carcinomで, fc (+), fc-inf (+), vp0. vv0, b0, tw (-), im 1,相対的治癒切除であった,非癌部はNonB NonCの正常肝であった.術後7カ月のCT検査にて多発性肝内転移と脾下極に直径2cmの腫瘍を認めた.肝内転移巣に対してはTAEにより治療効果を得られたが,脾下極腫瘍は直径4cmと増大し,同時に血清AFP値の上昇も認めたため肝細胞癌脾転移と診断,初回手術から16カ月後に脾摘術を施行した.術前術中の検索にて残肝,脾臓以外に転移再発巣はなかった.肝細胞癌の孤立性脾転移は渉猟しえた限り本邦では8例しか認めず,また切除症例は2例のみであった.

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