日本臨床外科学会雑誌
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1年間経過観察した直腸子宮内膜症の1例
倉地 清隆小原 誠綿引 洋一小坂 昭夫
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1653-1657

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抄録

症例は47歳の女性.月経時排便困難で来院した.注腸および大腸内視鏡検査で直腸に全周性狭窄像を認めた. CT・MRIにて子宮直腸間の索状物と右卵巣嚢腫を認め,臨床症状と画像所見から直腸子宮内膜症と診断した.月経終了後は症状が軽快するために,ホルモン療法を第一選択としたが,副作用の出現と臨床症状が改善しないため, 1年後に子宮・両側付属器および直腸部分切除を施行した.子宮と右卵巣および直腸は強固に癒着し直腸を狭窄していた.病理組織学的には,線維化をともなった子宮内膜組織が粘膜下層まで浸潤し,右卵巣はチョコレート嚢胞であった.
腸管子宮内膜症は比較的まれな疾患であり,自験例を含めた本邦報告84例を集計し検討した.術前に確定診断が困難な症例も多く,手術適応や治療方針については慎重に検討する必要がある.

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