腸間膜に原発する平滑筋腫はきわめてまれで,本邦では自験例を含めて11例しか報告されていない.症例は71歳の男性で腹部膨満感と便秘を主訴として来院した.右下腹部に小児頭大の弾性軟,表面平滑で可動性良好な腫瘤を触知した.術前の画像診断では腫瘤は腸間膜内に位置し境界は明瞭で内部がやや不均一であった.腸間膜腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は回盲弁より1m80cmから3mの小腸間膜内に存在し一部で小腸を壁外性に圧排していたが小腸への浸潤および腸間膜リンパ節に転移所見を認めず,腫瘍を小腸とともに切除した.腫瘍は組織学的に平滑筋腫と診断された.