日本臨床外科学会雑誌
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新生児腹壁破裂10例の検討
金沢 幸夫吉野 泰啓伊勢 一哉井上 仁
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キーワード: 腹壁破裂, 治療
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1674-1678

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抄録

腹壁破裂は出生後緊急処置を要する先天性腹壁異常である.当科でこれまで経験した腹壁破裂10例の術前経過,術式の選択,術後経過を検討し治療上の問題点について考察した.
1984年以前の3例が術式とは関係なく死亡した.死因は肺合併症1例,イレウス持続1例,不明1例であった.これ以降の7例は生存した.7例中3例は一期的腹壁閉鎖で,このうち2例は出生前診断され予定の帝王切開で出生し脱出腸管の浮腫は軽度で容易に閉鎖し得た.7例中1例は一期的腹壁閉鎖後,腹圧上昇により呼吸循環不全,肝機能異常がみられ術後12時間にAllen-Wrenn (A-W) 法に変更した.今後は術中なんらかの腹圧測定を行い一期的腹壁閉鎖が可能かどうか判断したい. 7例中3例はA-W法で,このうち1例では術後一過性に高度の肝機能異常がみられ肝外門脈閉塞が疑われた.人工膜によるサイロ造設時腸管の走行に十分な注意が必要である.

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