日本臨床外科学会雑誌
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Mesh-plug法により修復した上腰ヘルニアの1例
平 成人曽我 浩之小島 茂嘉
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1679-1683

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抄録

症例は70歳の女性.左腰背部腫瘤を主訴に受診した.左腰背部に10cm径の弾性軟な腫瘤を触知し,超音波検査, CT検査にて上腰ヘルニアと診断した.手術にて上腰三角部の腹横筋腱膜に2.5cm径の明瞭な欠損孔を認め,この部より腎周囲脂肪組織が脱出していた.手術は,ヘルニア門へのmesh-plug挿入固定と, Marlex Meshを用いて上腰三角部をonlay patchで補強するtension-freeヘルニア修復術を行った.術後経過は良好で,術後4カ月の現在再発を認めていない.
本邦では20例の上腰ヘルニアが報告されており,自験例を含めた21例の上腰ヘルニアの検討では,平均発症年齢72歳,性比は8:13と女性に多く,左側13例,右側6例,両側2例であった.検索しえた限りではtension-freeヘルニア修復術, mesh-plug法を上腰ヘルニアへ応用した報告例はないが,有用な方法と考えられた.

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