1999 年 60 巻 7 号 p. 1842-1845
小腸平滑筋肉腫は比較的稀な疾患で,その中でも有茎性発育を示す症例は少ない.今回術前診断が可能であった管外発育型有茎性回腸平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳男性で,下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部USにて下腹部に腫瘤を認めたため当科に紹介された.腹部US, CT, MRIなどの各種画像診断,特に血管造影にて回腸平滑筋肉腫と診断し,手術を施行した.腫瘍は径11×10×8cmでBauhin弁より100cm口側の回腸で,腸間膜付着部対側の腸管より有茎性に発育しており,腫瘍頸部の回腸壁を含めて楔状に腫瘍を切除した.腫瘍は中心部に壊死性変化を伴い,病理組織所見で平滑筋肉腫と診断された.術後1年の現在再発なく健在である.