日本臨床外科学会雑誌
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乳癌の局麻下day surgeryの現況と問題点
桧垣 健二岡村 進介吉鷹 知也大崎 悟田辺 和照小野田 正塩崎 滋弘大野 聡二宮 基樹池田 俊行小林 直広朝倉 晃
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2283-2290

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抄録

比較的早期な乳癌88例に局麻によるday surgeryを行ったので,安全性,手術成績,経済性,そして患者の満足度を評価することにより乳癌のday surgeryの現況と問題点を明らかにした.術後合併症は5例(5.7%)におこり, 1例が後出血のために再手術を受けた. Day surgeryの実施に際しては救急時の対応が速やかにできることが前提となる.術後の成績は,その適応を厳密に行えば良好であった.経済面では,平均入院日数を減少させ,個人の医療費も入院に比べて約7分の1に減少させることができたことは経済効果が大きいことを示している.しかし,患者の満足度が高い水準にありながら,医療費の負担が軽減したことを評価した患者は少なかった.病院の収入は減少するにもかかわらず,医師の負担はかえって増す面もあり, day surgeryの推進のためにはこれらのアンバランスをできるだけ小さくしていく努力が必要である.

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