日本臨床外科学会雑誌
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60 巻, 9 号
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  • 桧垣 健二, 岡村 進介, 吉鷹 知也, 大崎 悟, 田辺 和照, 小野田 正, 塩崎 滋弘, 大野 聡, 二宮 基樹, 池田 俊行, 小林 ...
    1999 年60 巻9 号 p. 2283-2290
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    比較的早期な乳癌88例に局麻によるday surgeryを行ったので,安全性,手術成績,経済性,そして患者の満足度を評価することにより乳癌のday surgeryの現況と問題点を明らかにした.術後合併症は5例(5.7%)におこり, 1例が後出血のために再手術を受けた. Day surgeryの実施に際しては救急時の対応が速やかにできることが前提となる.術後の成績は,その適応を厳密に行えば良好であった.経済面では,平均入院日数を減少させ,個人の医療費も入院に比べて約7分の1に減少させることができたことは経済効果が大きいことを示している.しかし,患者の満足度が高い水準にありながら,医療費の負担が軽減したことを評価した患者は少なかった.病院の収入は減少するにもかかわらず,医師の負担はかえって増す面もあり, day surgeryの推進のためにはこれらのアンバランスをできるだけ小さくしていく努力が必要である.
  • 五味渕 誠, 大森 裕也, 木下 裕康, 宮城 泰雄, 田中 茂夫, 笹井 巧
    1999 年60 巻9 号 p. 2291-2294
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    気腫性変化を伴う肺手術では術後の空気もれが起こりやすく,肺炎や呼吸不全など重症合併症の誘因となることがある.われわれは気腫性変化を有する肺手術症例53例のGelatin-Resorcin-Formaldehyde (GRF) glueの有効性を検討した. 53例中2例に再手術を必要としたが, 1例はGRF glueを塗布した部分とは別に術後に新生したブラの破裂が原因であった. GRF glue塗布部分からの空気もれが原因であった例は術直後再開胸したl例のみであったが,術中に再塗布を必要とした例は14例と多かった.これらの結果からGRF glueは塗布時まで温度を保ち,充分にホルムアルデヒドと混和する必要はあるが,気腫性変化の強い肺手術に有効と考えられた.
  • 愛甲 聡, 吉住 豊, 杉浦 芳章, 小池 啓司, 田中 勧
    1999 年60 巻9 号 p. 2295-2299
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道癌切除術における胸腔内胃管再建法の適応を,占居部位,縦隔再発および縫合不全の危険因子より検討した. 1993~1998年の当科食道癌手術例のうち, Ceに病変がなく再建に胃を用いた68例を対象とし,右胸腔内吻合を行った53例(IT群),早期の縦隔再発を予測し胸壁前で再建した9例(MR群),縫合不全の危険性より胸壁前で再建した6例 (AL群)に分類した. IT群はIu症例14例を含むが,切歯列より24cm以内の病変では標本の口側距離が限定され,適応に際し注意が必要と考えた. MR群の多くはA3症例で,早期の縦隔再発により極めて予後不良であったが, IT群のA3症例でも縦隔再発による胃管通過障害の発生はなく,むしろ術後早期のQOLに優れた胸腔内吻合の適用が妥当と考えた. IT群に縫合不全の発生は1例であったが, AL群では主に重症肝障害,糖尿病と肝機能障害を合併する5例に発生し,これらの基礎疾患合併例は今後も胸腔内吻合の適応外と考えた.
  • 松藤 凡, 種田 泉, 武鹿 良規, 大東 誠司, 中村 清吾, 柵瀬 信太郎, 西尾 剛毅, 櫻井 健司
    1999 年60 巻9 号 p. 2300-2304
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    胃全摘後のRoux-en-Y再建術症例では,長期に経口摂取が障害され著明な体重減少をきたすことが多い. 8例でRoux脚の内圧を測定し運動機能の検討を行った.マイクロトランスヂュサーを用いて空腹期および食後期の収縮活動を記録し,健常人の空腸内圧と比較検討した.空腹期記録では5例でphase IIIが認められ,この内3例でphase III持続時間が延長していた.残りの3例ではphase IIIは出現しなかった.食後期記録では, 6例は正常なランダムな収縮活動パターンを示し, 2例でphase III様の収縮波群が混在していた.食後期活動の収縮頻度とMotility Indexは3例で減少, 2例で増加していた.結局, 8例中7例で何らかの異常な収縮活動が認められた. Roux脚は,本来の小腸とは異なった収縮運動をしており,このことがRoux脚症候群や種々の消化器症状の重要な原因の1つであることが推測された.
  • 60歳代手術症例との比較
    下松谷 匠, 堀内 哲也, 吉田 誠, 天谷 博一, 青竹 利治, 打波 大, 村岡 隆介
    1999 年60 巻9 号 p. 2305-2310
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    今回80歳以上の高齢者胃癌の術後合併症発生の因子を明らかにするため60歳代の手術症例 (n=137例)と80歳以上群の手術症例 (n=46例)を比較検討した. 1. 臨床因子: 80歳以上群で早期症例は少なかったが,占拠部位,肉眼型,組織型では差を認めなかった. 2. 術式:切除部位別では差がなかったが, 80歳以上群で非切除例がやや多かった. 80歳以上群で郭清度の低いものが多く,他臓器の合併切除は少なかった. 3. 合併症:術前合併症は80歳以上群で循環器系,脳神経系が多かった.術後合併症では60歳代で膵液瘻,縫合不全など手術に関係するものが多かったが, 80歳以上群では呼吸器,脳神経系などの全身的なものが多かった. 4. 術後成績:合併症発生率は手術時間が3時間以上の群,胃全摘および噴門側胃切除群,他臓器合併切除した群で有意に発生率が高かった.累積生存率は有意に60歳代が良好であったが,他病死を除く相対生存率は差を認めなかった.以上より根治性を追求するより術後合併症をさける治療方針を選択すべきと考えられる.
  • 望月 能成, 須田 嵩, 松尾 憲一, 平川 昭平, 長谷川 誠司, 木谷 勇一, 望月 康久, 牧野 達郎, 山崎 安信, 竹村 浩
    1999 年60 巻9 号 p. 2311-2315
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    今日,医療を取り巻く社会的,経済的環境が変化し,日帰り手術が脚光をあびている.当院では成人鼠径ヘルニアに対して日帰り手術を導入し,その可能性について検討した.対象: 1997年ll月から1998年9月に行った日帰り手術は36例であった.男31例,女5例.平均年齢は52歳.外鼠径ヘルニア31例,内鼠径ヘルニア5例であった.手術は硬膜外麻酔下にmesh plug法で行った.結果: (1)日帰り手術予定の退院延期は1例もなかった. (2)術後早期の合併症では皮下出血を術後1日目に8例認めたが自然消退した.発赤,腫脹を認める症例もあったが感染には至らなかった.滲出液の貯留を1例に認めたが穿刺により軽快した. (3)満足度アンケート調査で36例中29例に回答を得た.満足度は,「満足」と「やや満足」をあわせた回答が28例であり満足度は高かった.結語:成人鼠径ヘルニアの手術は技術面,患者側の受け入れ面の観点では日帰り手術が可能であった.
  • 子宮癌放射線照射との関係を中心に
    田中屋 宏爾, 小長 英二, 竹内 仁司, 安井 義政, 柚木 靖弘, 土屋 健
    1999 年60 巻9 号 p. 2316-2319
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    大腸子宮癌重複癌切除例12症例について臨床的に検討した.最近17年間の当科における大腸癌手術例は517例であった.他臓器重複癌は45例,子宮重複癌は12例で,女性に限ると重複臓器のなかで子宮は最も多かった.大腸子宮重複癌12例中8例に癌家族歴を認めた.子宮癌照射後に大腸癌が発生した3例中, 2例に照射野内の大腸癌発生を認め, 1例に組織学的に放射線障害を示唆する所見も認められた.
    癌家族歴や照射歴を有する子宮癌症例においては,大腸の二次発癌に対して厳重なサーベイランスが必要と考えられた.
  • 諸角 強英, 宮崎 洋史, 奈良井 慎, 古平 喜一郎, 杉浦 仁
    1999 年60 巻9 号 p. 2320-2325
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は45歳女性,主訴は左乳腺腺瘤.左乳房C領域に3×2cm大,表面平滑で弾性硬,境界明瞭で可動性良好な腫瘤を認めた.マンモグラフィー,超音波検査にて乳癌を疑い生検を行った.病理組織学検査,免疫組織染色にて悪性リンパ腫, diffuse, large cell, T-cell typeと診断した.非定型的乳房切断術 (Patey法)を施行し,腋窩リンパ節に1個転移を認めた.術後2カ月半で縦隔に再発したがCHOP-Bleo療法にて一時軽快した.しかし1年7カ月後には白血化して死亡した.この症例は抗HTLV-1抗体陽性のためATLのリンパ腫型と考えられたが,乳腺のT細胞悪性リンパ腫の多くが抗HTLV-1抗体陽性でしかも予後が不良であるため,これらの症例は乳腺原発T細胞性悪性リンパ腫と言うよりむしろ, ATLのリンパ腫型が乳腺に腫瘤を形成したと考え,十分な化学療法を行う必要があると思われた.
  • 堀井 理絵, 福内 敦, 西 常博
    1999 年60 巻9 号 p. 2326-2328
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    乳房温存療法後に対側乳癌が発生した症例を対象として,対側乳癌発生率,臨床像,治療法について検討した. 1983年より1997年12月までに当科で乳房温存療法を施行した症例は275例でこのうち8例に対側乳癌の発生を経験した. 5年累積発生率は2.6%であり,同期間の乳房温存療法後の乳房内再発率2.5%とほほ伺率であった.対側乳癌は,乳房温存療法後平均57.1±45.6カ月後に,全例腫瘤自覚で発見された. TNM分類で1期が7例, II期が1例で,1期の6例に乳房温存療法を施行した.対側乳癌発生例の初回手術からの5年累積生存率は85.7%であった.乳房温存療法後は乳房内再発だけでなく,対側乳癌発生にも注意が必要である.また両側に乳房温存療法を施行した症例は,合併症もなく美容効果も良好であった.
  • 寺田 俊明, 福田 幸人, 山下 洋一, 大畑 俊裕, 木川 幾太郎, 鰐渕 康彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2329-2333
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.家族性褐色細胞腫の家系であることより全身精査を施行したところ,胸部CT像にて弓部大動脈瘤を指摘され手術目的に入院となった.上下肢間で約30mmHgの収縮期血圧差を認め,左鎖骨下に血管雑音を聴取した.大動脈造影検査で大動脈縮窄部とその中枢側遠位弓部に最大径45mmの嚢状瘤を認めた.手術は左鎖骨下動脈と遠位弓部大動脈を人工血管にて置換した.病理組織像では,大動脈瘤壁は内,中膜弾性線維層の欠損を認め,また正常大動脈壁と思われた部位も中膜の壊死性変化がありMarfan症候群に似る所見であった.大動脈縮窄症に合併した大動脈瘤の例は調べ得たかぎり本邦で自験例を含み22例でありその中でも縮窄部の中枢に瘤を呈していたのは4例(約18%)と稀であった.これらの症例は先天的な発生異常が根底に存在すると示唆された.
  • 堀内 淳, 高橋 広, 佐藤 公一, 湯汲 俊悟, 古賀 繁宏, 河内 寛治
    1999 年60 巻9 号 p. 2334-2337
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.右頸部腫瘤にて近医受診し,甲状腺腫瘍を指摘され,当科を紹介された.右頸部に3cm大の弾性やや軟で可動性良好な腫瘤を認め, CTにて甲状腺右葉に径4×3cmの石灰化を伴う腫瘤陰影を認めた.術中に甲状腺右葉裏面の傍気管に表面平滑で充実性の4×2cmの腫瘤を認め,リンパ節転移を疑い,甲状腺右葉とともにこれを摘出した.病理組織で,甲状腺腫瘍は濾胞癌,傍気管の腫瘤は神経鞘腫と診断された.甲状腺腫瘍と頸部神経鞘腫との合併は,本邦ではこれまでに6例の報告があるのみで,非常に稀な症例であった.
  • 坂本 和彦, 西田 峰勝, 前田 義隆, 岡 正朗, 栗本 典昭, 森田 克彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2338-2343
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌切除後の肺門リンパ節転移巣を切除し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は63歳男性.平成5年10月,肝S7の肝細胞癌に肝後区域切除を施行し,約2年後S8の残肝再発と右肺上葉の肺転移に対し肝部分切除と肺部分切除を施行した.平成8年8月の胸部CTにて約2cmの肺門リンパ節腫大を認め, 3カ月後には腫瘤は約3cmに増大した.肺門リンパ節転移と診断し,平成9年1月よりミトキサントロンによる化学療法を施行し経過観察した. 5月の胸部CTで腫瘤は約4cmと増大したが,画像上で新たな他病変はなく手術適応と考えた.血管造影で大血管への浸潤はなく, 6月25日右開胸下右肺上葉切除とリンパ節郭清を行い術後15日目に退院した.術後約1年経過した現在,外来にて厳重に経過観察をしているが血液検査および画像診断で再発の徴候はない.
  • 田村 和彦, 佐藤 滋, 高木 融, 黒田 直樹, 逢坂 由昭, 高木 眞人, 青木 達哉, 小柳 泰久
    1999 年60 巻9 号 p. 2344-2348
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    食道に発生する顆粒細胞腫 (granular cell tumor: 以下GCT) は比較的稀な疾患とされていたが,近年,内視鏡診断の進歩に伴い報告例が増えてきている.食道の顆粒細胞腫は,上部食道に少なく,中下部食道に好発し,病理組織学的には免疫組織染色でS-100蛋白の存在が証明され,内視鏡的に切除可能なものが多い.症例は47歳女性,内視鏡にて頸部食道に隆起性病変を指摘された.術前検査にて,頸部食道に存在する長径40mm大の卵円形の粘膜下腫瘍と診断し,外科的切除を行った.摘出標本は, 40×30×25mm大の充実性の腫瘍で,割面は黄白色調を呈し,病理組織診断において,顆粒細胞腫の診断を得た.食道原発のGCTは頸部に発生することは稀とされている.
  • 東 久弥, 横尾 直樹, 吉田 隆浩, 加藤 達史, 福井 貴巳, 山口 哲哉
    1999 年60 巻9 号 p. 2349-2352
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃切除術後のBarrett食道に発生した腺癌の1例を経験したので報告する.症例は81歳男性, 45歳時胃潰瘍のため胃切除術を施行, Billroth I法にて再建されている.上腹部痛が出現したため当院を受診,上部消化管内視鏡検査にて,門歯より25cmの部位よりBarrett上皮と思われる粘膜があり,その一部に発赤を認めた.発赤部の生検結果はGroup IVであった.半年後,内視鏡を再検したところ,門歯より30cmの部位に,表面が比較的平滑なI型の隆起性病変を認め,生検にてGroup Vと診断された.胸部食道全摘,胸腹部2領域郭清後,経胸骨後ルートで右結腸による再建を行った.病理所見では,腫瘤は2.7×1.8cmの隆起性であり,腫瘤を含め全長4.7cmにわたり粘膜の白色変化がみられた.組織学的には,隆起性病変内に乳頭状増殖をなす異型腺上皮を認め,高分化腺癌と診断された.
  • 河原 秀次郎, 大野 誠, 石川 博敏, 五十嵐 誠悟, 平井 勝也, 青木 照明
    1999 年60 巻9 号 p. 2353-2356
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    49歳男性.検診で胃の病変を指摘されたため,精査加療目的で当院を受診された.上部消化管内視鏡検査によってcardia近傍に直径1cmの粘膜下腫瘍を確認した.生検鉗子による操作では,腫瘍の粘膜内での可動性が高く,腫瘍と固有筋層との関連性はないと思われた. 2週間後に粘膜下腫瘍の内視鏡的切除を試みた.腫瘍切除術後,切除面に固有筋層が観察されたが,出血および穿孔はみられなかった.また術後病理組織検査では,腫瘍は被膜に包まれて切除されており,固有筋層成分はみられず,内視鏡的切除による固有筋層の損傷は軽度と思われた.しかし内視鏡治療後約7時間経過してから胃穿孔が生じ再来院した.内視鏡的切除術に伴い固有筋層の損傷が軽度であり,術直後穿孔がみられなくても,術後経過してから穿孔する可能性を決して否定できないため,切除後の粘膜欠損部を閉鎖することが重要と思われた.
  • 窪田 公一, 金 達浩, 会田 征彦, 大谷 洋一, 芳賀 駿介, 梶原 哲郎
    1999 年60 巻9 号 p. 2357-2361
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃外型有茎性胃平滑筋腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は74歳女性.黄疸で入院となり,十二指腸乳頭部病変が認められた.検査過程の腹部CTで胃腫瘍が指摘されたが,他の検査では異常所見を認めなかった.胃粘膜下腫瘍と判断し,十二指腸乳頭部病変とともに手術を施行した.胃前庭部大彎側前壁に壁外性に有茎性発育を示す腫瘍を認めた.十二指腸乳頭部病変に対する膵頭十二指腸切除範囲に含めて一括して摘出した.腫瘍は大きさ3.0×2.5×1.5cm, 分葉結節状で灰黒色,弾性軟で脆かった.病理組織学的には悪性所見のない筋上皮型の腫瘍で平滑筋腫と診断された.そして,腫瘍によって占められた固有筋層は有茎性発育を示しており,胃外型有茎性胃平滑筋腫と考えられた.胃外型有茎性胃平滑筋腫は極めて稀で本邦では23例が報告されているにすぎなかった.
  • 堅野 国幸, 五明 良仁, 山代 豊, 松井 孝夫, 岸本 弘之, 日野原 徹
    1999 年60 巻9 号 p. 2362-2366
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は86歳の女性.幽門輪から十分距離がある隆起型の早期胃癌に対し,幽門保存胃切除術を施行した.術後4日目より経口摂取を開始するも,術後10日目より嘔吐が出現,絶飲食とした.経口透視では,残胃は著明に拡張し,十二指腸への造影剤の流出は全く認められなかった.術後20日目より2週間erythromycin 600mg/日の経口投与を行った.術後31日目には嘔気,嘔吐は消失,経口摂取を再開した.以後順調に経過し,経口摂取量も術前とほぼ同量となり,術後44日目に退院となった.幽門保存胃切除術を施行する際には迷走神経幽門洞枝の温存や幽門側切離部位に注意を払うとともに,術後胃内容排出遅延が認められた場合, motilin receptorのagonistで,消化管運動亢進作用があるとされるerythromycinの経口投与は,有効な治療法のlつと考えられた.
  • 藤本 崇司, 勝部 隆男, 成高 義彦, 芳賀 駿介, 小川 健治, 梶原 哲郎
    1999 年60 巻9 号 p. 2367-2370
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.左上腹部痛と嘔吐を主訴に当科来院.内視鏡検査で胃体部の潰瘍性病変と隆起性病変の混在を認め,生検にて悪性リンパ腫(diffuse large B cell type)と診断された.術前化学療法も考慮したが,潰瘍部穿孔の危険性を考え,手術を先行した.腫瘍は胃体部から膵臓,脾臓,横行結腸間膜,左横隔膜に広範囲に浸潤しており,切除不能であった.術後, THP-COP療法を開始したが,術後38日目より頭痛,霧視,右眼球の右方偏位が出現した.頭部CT検査で眼窩内に視神経を圧迫する腫瘍を認め,胃原発悪性リンパ腫の眼窩内転移と判断した.同部位に対して, 26Gyの放射線照射を行ったところ,腫瘍の消失とともに症状の改善を得ることができた.胃悪性リンパ腫に続発した眼窩内腫瘍に関する報告はみられないが,同部位に対して放射線治療が著効を示した1例を経験したので報告した.
  • 野村 裕紀, 水島 康博, 唐沢 学洋, 平田 公一
    1999 年60 巻9 号 p. 2371-2373
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    今回われわれが経験した症例は68歳の男性である.昭和56年6月(52歳時)に胸部食道癌で右開胸・開腹にて食道亜全摘,胸骨後経路による頸部食道胃管吻合術を施行した.術後16年経過した平成9年6月イレウスで入院した際,胃内視鏡検査で胃管下部左側寄りの後壁に隆起性病変を認め,食道癌術後の再建胃管に発生した癌と診断し,手術を施行した.
    食道癌術後の再建胃管に発生した癌は一般に進行癌で発見されることが多くその結果予後不良となるため,早期発見を目的としたregimenにて定期的な経過観察を行うことが重要である.
  • 内藤 明広, 川原 勝彦, 岩田 宏, 田那村 収, 森山 悟
    1999 年60 巻9 号 p. 2374-2377
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    内臓逆位症は5,000人から10,000人に1人の割合で認められ,しばしば合併奇形が認められる.症例は64歳,男性で,心窩部痛を主訴として来院した.胃カメラで胃の襞集中像を認め,生検で腺癌と診断された.腹部USでは胆石症も指摘された.術前より他院で内臓逆位症の診断はなされていた.術前の精査では,心大血管系に合併奇型は認められなかった.手術は胃全摘+所属リンパ節郭清,胆嚢摘出術+術中胆道造影を施行した.術後経過は良好で,術後1年経過した現在,再発の徴候は認められてない.
  • 蒔田 圭子, 西川 眞, 樟本 賢首, 沢田 康夫, 佐々木 文章
    1999 年60 巻9 号 p. 2378-2381
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    生後3日目に先天性十二指腸閉鎖症の診断で,十二指腸空腸吻合術を受け, 21年後に難治性の吻合部潰瘍および狭窄にて2/3胃切除と胃空腸吻合を行った1例を経験した,症例は術後の血液検査でHelicobacter Pylori (以下H. Pyloriと略)に感染していたことが判明した.症例の胃幽門部および吻合部の深い潰瘍は,胃空腸吻合という術式がその一因と考えられたが, H. Pyloriの影響があったことも十分に考えられた.今後同様の症例に対してはH. Pylori感染症の検索および治療もあわせて行う必要があると考えられた.
  • 志田 大, 吉見 富洋, 石塚 恒夫, 鈴木 章史, 板橋 正幸, 小泉 澄彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2382-2388
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    十二指腸平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり,本邦では約330例の報告があるのみである.その中でも,球部に発生する頻度は10%前後と少ない.われわれは,十二指腸球部平滑筋肉腫に対し十二指腸部分切除術を施行した2例を経験したので報告する.症例1は83歳,女性.貧血の原因精査時,十二指腸球部粘膜下腫瘍が出血源として発見され,各種画像診断により平滑筋肉腫が最も疑われたため手術を実施した.症例2は69歳,女性.十二指腸球部粘膜下腫瘍として経過観察中, 9年目の上部消化管内視鏡検査時,生検組織診により平滑筋肉腫の診断となり手術を実施した.症例1は術後52カ月,症例2は術後13カ月経過するが,無再発生存中である.球部に腫瘍が局在していた場合,十二指腸部分切除術により充分に治療しうると考えられた.
  • 森田 克彦, 榎本 正満, 魚本 昌志, 栗本 典昭, 永野 克二, 村山 正毅
    1999 年60 巻9 号 p. 2389-2394
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    術前診断しえた比較的稀な十二指腸原発の悪性リンパ腫を経験した.症例は66歳女性.平成9年6月頃より上腹部痛出現し,胃透視検査で十二指腸球後部に全周性の不整陰影欠損を認めた.胃内視鏡検査では球部から下行脚に移行するあたりに,ほぼ全周性の周提を有する白色調の隆起性病変を認め,生検組織にて中型の異形リンパ球がびまん性増殖し, malignant lymphoma, diffuse medium-sized cell typeと診断された.表在リンパ節は触知せず,白血球および,その分画には異常なく,エコー,腹部CTにて十二指腸壁は著明に肥厚し,膵頭部との境界は不鮮明であった.他臓器に悪性リンパ腫を疑わせる所見はなかった. 7月29日,膵頭十二指腸切除術,リンパ節郭清, Child II法再建を施行した.病理組織所見はLSG分類によるNon-Hodgkin's lymphoma, diffuse medium sized B typeで深達度はm~ss, 胃癌取り扱い規約における#8a, #5にリンパ節転移を認めた.術後VEPA (Vincristine, Endoxan, Prednisolone, Adriacin) による化学療法施行した.術後1年再発の兆候なく健在である.
  • 新谷 康, 坂本 嗣郎, 坂本 知三郎, 水野 均, 菅野 祐幸
    1999 年60 巻9 号 p. 2395-2399
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    65歳,男性. 14年前に胃潰瘍穿孔にて幽門側胃切除術, Billroth I法再建の手術歴がある.腹部膨満感を主訴に来院.上部消化管造影にて残胃の拡張を認め,内視鏡検査にて吻合部肛門側に絨毛状隆起性病変を認めたが,生検でGroup IIIであった.組織学的に腺窩上皮が乳頭状に増生していたことから,吻合部肛門側十二指腸に発生した腺腫による狭窄と診断し,開腹手術を施行した.手術所見では十二指腸下行脚に鶏卵大の腫瘍が存在し,腫瘍を先進部として十二指腸重積をきたしていた.術中迅速切片にてpapillary adenocarcinomaと判明し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後診断はVater乳頭部癌であった.術後15カ月目の腹部CTで肝転移を認めている.
    無黄疸でかつ十二指腸重積をきたした極めて稀な発育形態を示した乳頭部癌の1手術例を経験した.
  • 尾形 章, 大野 一英, 升田 吉雄, 遠藤 文夫, 増田 益功, 小幡 五郎
    1999 年60 巻9 号 p. 2400-2404
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の女性で上腹部異和感および腹部腫瘤を主訴に当院を受診し,上部消化管造影および内視鏡にて十二指腸癌と診断され入院した.入院時の血清AFP値は480ng/mlであり, AFP産生十二指腸癌の診断にて開腹手術を行った.術中十二指腸球部を中心に腫瘍を認め,周囲および大動脈周囲リンパ節の腫大を伴った.胃癌取扱い規約に準じD4郭清を行い,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本において3型の腫瘍が十二指腸球部を中心にあり一部膵頭部への直接浸潤を認めた.組織学的には中分化型腺癌で肝様腺癌様の明るい胞体を有する腫瘍細胞は認めなかった.また, AFP染色 (SAB法)にて腫瘍細胞の細胞質は茶褐色に染まった. AFP産生癌の報告例は増加してきているが,原発性十二指腸癌での報告は稀である.今回, AFP産生十二指腸癌の症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
  • 島貫 公義, 佐竹 賢仰, 目黒 浩昭
    1999 年60 巻9 号 p. 2405-2409
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    消化器外科手術前後における栄養状態の変動が慢性呼吸不全の病態,特に肺機能検査における一秒率 (FEV 1.0%) の変動に関与したBall Valve syndromeを伴った進行胃癌十二指腸嵌入症例を経験したので報告する.症例は83歳,男性で,胃癌が診断される以前より体重,栄養指数,およびFEV 1.0%の減少を認め,癌による症状発現とともにこれらの指数は著明に低下した.根治術による通過障害の消失により栄養状態が改善し,術後6カ月で呼吸機能および栄養状態は在宅酸素療法導入以前の状態までに改善した.潜在的な慢性閉塞性肺疾や在宅酸素療法施行症例においては呼吸機能への影響因子として,悪性疾患の合併による術前低栄養と術後の摂食状況に伴う栄養状態の変化が重要なものと思われた.
  • 山内 希美, 山内 一, 田辺 博
    1999 年60 巻9 号 p. 2410-2413
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    脳出血にて加療中に腸間膜静脈血栓症による広範囲回腸壊死をきたした1例を経験した.症例は72歳,女性.主訴は腹部圧痛,下血. 1997年10月16日,発語ができず,脳出血,脳室内穿破と診断された. 1998年2月2日より下血が認められ,内視鏡にて上下部消化管に異常を認めず保存的治療を施行していたが,血圧低下をきたし,腹部に圧痛および筋性防御が出現したため2月6日に外科へ紹介となった.エコーガイド下に腹腔内穿刺を施行したところ混濁した血性腹水を認めたため,消化管穿孔と診断し緊急開腹術を施行した.約1mにわたる回腸が壊死に陥っており,腸間膜静脈は血栓にて閉塞されていた.壊死小腸を切除した,腸管が虚血状態となると梗塞や壊死に陥り,下血は腸管の強い浮腫や壊死を示唆している.また腸管が壊死に陥った場合の予後は不良とされている.血管病変を合併した急性腹症は本症も念頭に入れ,早期診断治療にあたることが重要と思われた.
  • 鈴木 喜裕, 熊本 吉一, 片山 清文, 白石 龍二, 塩澤 学
    1999 年60 巻9 号 p. 2414-2417
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は, 24歳男性.右下腹部痛を主訴に当科受診.急性虫垂炎,汎発性腹膜炎の診断にて同日手術を施行した.術中所見で, Treitz靭帯より約180cm肛門側の空腸の腸間膜対側に0.5cmの穿孔を認め,さらに穿孔部の腸間膜,大網, Douglas窩に白色の多数の結節を認めた.術後病理検査にて,小腸平滑筋肉腫および腹膜播種と診断した.術後化学療法は行わず, 4カ月で死亡した.
    小腸平滑筋肉腫の穿孔例は稀であり, 1988年から現在までのlO年間の報告例19例について検討し報告する.
  • 山本 雄治, 平田 公一
    1999 年60 巻9 号 p. 2418-2422
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    虫垂および回腸子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は42歳女性.眩量を主訴に平成9年10月13日当院内科を受診. RBC 386万/mm3, Hb8.4g/dl, Ht28.3%と貧血を示し便潜血反応陽性であったため精査目的で入院.
    入院時現症として腹部は平坦,軟で圧痛はなく腫瘤を触知しなかった.注腸X線造影検査で虫垂は造影されず,回盲部に陰影欠損を認めた.大腸内視鏡検査では盲腸の虫垂開口部に表面平滑な隆起性病変を認め,粘膜下腫瘍を想定した.以上より盲腸の粘膜下腫瘍と診断し, 11月22日回盲部切除術+回腸部分切除術を施行した.術中所見としては,虫垂根部に2cm大の限局性腫瘤を触知し,回腸間に癒着も認めた.腫瘤は虫垂根部に一致した充実性腫瘍で腫瘍径は1.5×1.8cmであった.病理組織学的検査にて虫垂および回腸子宮内膜症と診断された.
  • 木花 鋭一, 栗栖 茂, 八田 健, 小山 隆司, 喜多 泰文, 梅木 雅彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2423-2425
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    外鼠径ヘルニア内容が急性蜂窩織炎を生じた虫垂突起であったl例を経験した.症例は69歳,男性.右鼠径部の有痛性腫瘤を主訴に来院した.経過中,嘔気,嘔吐はなかった.腹部は平坦で疼痛は認めず,腸蠕動音も正常であった.血液検査では白血球数, CRP値の上昇を認めた.腹部単純X線写真では,イレウスの所見は認めなかった.腫瘤上の超音波検査では,液体の貯留および腫大した虫垂突起と考えられる構造物を認めた.鼠径ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.ヘルニア嚢は肥厚緊満し,嚢を切開すると膿性腹水が排出され,発赤腫大し穿孔した虫垂突起を認めた.内鼠径輪を開大することにより容易に虫垂切除を行え, iliopubic tract repair法でヘルニアは修復した.術後経過は創部感染も認めず良好であった.
  • 光武 範吏, 中崎 隆行, 谷口 英樹, 中尾 丞, 栄田 和行
    1999 年60 巻9 号 p. 2426-2429
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.主訴は腹痛,悪心.開腹手術の既往はない.腹痛,悪心のため受診,腸閉塞の診断にて緊急入院となった.入院後,保存的治療にて治癒せず,また,腹部CT検査にて盲腸窩ヘルニアと診断し,硬膜外麻酔下に開腹.盲腸内尾側に約1.5cmの裂孔があり,ここに回腸末端部が入り込んでいた.裂孔から後腹膜を切開し,回腸を引き出した.血行障害はなく,腸管切除は必要なかった.盲腸窩ヘルニアの本邦報告例は,検索しえた限りでは34例であり,稀な疾患である.術前に診断しえたものはわずか4例のみであり,若干の文献的考察を加えこれを報告した.
  • 森本 修邦, 石田 秀之, 桝谷 誠三, 龍田 眞行, 谷川 昇, 星田 義彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2430-2433
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.平成6年下血にて入院した.消化管を精査したが出血部位は同定されず,保存的に止血したため外来通院となった.平成10年12月再度下血を生じ入院した.血管造影を施行したが異常を認めず,輸血にて保存的に経過観察していたが,下血が増悪したため再度血管造影を施行した.上腸間膜動脈よりヘパリン1,000単位を注入したところ回腸動脈の末梢から分枝する異常血管からextravasationを認めた.回腸からの出血と診断し緊急開腹手術となった.回腸末端から60cm口側に憩室を認めたため同部を含め回腸部分切除術を施行した.切除標本では憩室内に3カ所潰瘍を認めた.
    病理組織学的に憩室先端に異所性胃粘膜を認め, Meckel憩室と診断した. Meckel憩室の合併症として出血,腸閉塞,憩室炎などがある.出血は小児以下で発症することが多く,成人での報告例は稀である.原因不明の小腸出血の場合, Meckel憩室からの出血も念頭においた精査が必要である.
  • 豊田 暢彦, 村田 裕彦
    1999 年60 巻9 号 p. 2434-2437
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,術前内視鏡にて出血部位を確認できた出血性下行結腸憩室の1切除例を経験したので報告する.症例は46歳,男性.平成10年6月1日,特に誘因なく下血を認め来院した.大腸内視鏡検査にて下行結腸脾彎曲部近くに憩室を認め,憩室底部には出血源と思われる露出血管を認めた.入院後保存的治療を続けたが,以後も下血は断続的に続き, 6月3日,再度大量出血を認め,プレショック状態となったため,緊急手術を施行した.下行結腸を授動すると,脾彎曲部より数cm肛門側で結腸間膜対側に径lcmの憩室を認めた.術中内視鏡にて同部からの出血を確認し,憩室の局所切除を行った.病理組織学的には,憩室底部の粘膜下層の動脈に内膜肥厚,器質化を示す部分を認め,血管周囲にはリンパ球,好酸球浸潤を伴う線維化を認めた.また一部の壁の破綻を認め,この部が出血源と思われた.経過は順調で,退院後現在まで再出血は認めていない.
  • 大森 健, 宗田 滋夫, 橋本 純平, 吉川 幸伸, 森 匡, 遠藤 俊治, 大嶋 正人
    1999 年60 巻9 号 p. 2438-2441
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    肛門管類基底細胞癌は皮膚の基底細胞癌と組織学的に類似した肝門管の悪性腫瘍で本邦では自験例を含め35例報告されているにすぎない.肝門類基底細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
    患者は64歳,女性.肝門出血,鼠径部腫瘤を自覚し当科受診,手術目的に入院となった.肛門後壁(5時方向)に2型の肛門管から肛門皮膚に達する腫瘤を認め,左右鼠径部リンパ節腫大を認めた.注腸検査で肛門管に粘膜不整像を認めた.肛門部腫瘤生検を施行,その結果はGroup V (扁平上皮癌)であった.以上の所見から肛門癌,鼠径リンパ節転移の診断で腹仙骨式直腸切断術(D2)を施行した.肛門管から肛門縁にかけて4×3cmの2型腫瘍を認めた.組織結果はbasaloid carcinoma (T2 N2), stage IIIbであった.術後補助療法として化学療法(FAM)を施行した.術後1年再発の徴候はなく良好である.
  • 藤竹 信一, 野崎 英樹, 小林 裕幸, 清水 稔, 前田 佳之, 片岡 将
    1999 年60 巻9 号 p. 2442-2447
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳と17歳の女性で,共にUS, CT, MRI, ERP, 血管造影にて膵尾部嚢胞性疾患と診断され,悪性疾患が否定できず開腹手術を施行した.両症例とも病変は脾臓との連続性はなく,病理組織学的に嚢胞上皮は重層扁平上皮で被覆されており,皮膚付属器などを伴っておらず,その外側に脾組織が認められたため膵尾部副脾に発生したepidermoid cystと診断された.脾臓は中胚葉由来の臓器で上皮成分を欠くため嚢胞を形成しにくく,さらに副脾に発生した嚢胞は稀である.膵尾部副脾のepidermoid cystは報告例も少なく他の膵嚢胞性疾患との鑑別が問題となるが,今回2症例を経験したので文献的考察を加えて報告した.嚢胞被覆細胞の起源については,嚢胞周囲の線維組織内に膵管組織が認められ嚢胞上皮との連続性が示唆されたことより,膵管上皮の膵尾部副脾への迷入によるのではないかと思われた.
  • 日月 亜紀子, 石川 哲郎, 小野田 尚佳, 北原 直人, 小川 佳成, 平川 弘聖, Suk Chung Yong
    1999 年60 巻9 号 p. 2448-2452
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    副腎myelolipomaは,稀な非機能性腫瘍であるが,高血圧・肥満・糖尿病を随伴することが多く,内分泌異常を伴う症例も報告されている.腫瘍切除により術前にみられた糖尿病が改善した1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.高血圧,糖尿病にて加療中,左副腎腫瘤を指摘された.肥満,空腹時血糖288mg/dlと糖尿病がみられ,血清コルチゾール, 11-OHCSが高値を示した.左副腎に, fat densityからなる8×9cm大の腫瘤が認められ,腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘤は,病理組織学的に副腎, myelolipomaと診断された.術後,血糖値は101mg/dlと正常化し,肥満,高血圧とも軽快した.過去に自験例のように糖尿病の合併例も報告されているが,術後改善したという報告はみられず,本疾患の治療方針を決定するうえで,極めて示唆に富む症例と考えられ,文献的考察を加え報告をした.
  • 伊神 剛, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 堀 明洋, 金岡 祐次, 高橋 吉仁, 李 政秀, 鈴村 潔, 菅原 元, 赤川 高志, 小川 敦司 ...
    1999 年60 巻9 号 p. 2453-2457
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    最近5年間に大垣市民病院外科で経験した放射線障害による膀胱自然破裂は4例で,すべて女性で子宮癌に対して広汎子宮全摘術と術後に放射線照射が施行されていた.また,膀胱自然破裂時の年齢は56~70歳で,照射量は2例で45Gy, 2例は不明であった.照射後から膀胱自然破裂までの期間は, 8~15年と長期間経過してから発症していた.治療は,開腹手術を3例,経皮的ドレナージを1例に施行した.術後は全例に膀胱内カテーテル留置を必要とした.
    また,われわれの調べ得た限りでは,放射線障害による膀胱自然破裂の本邦報告例は自験例も含めて15例であり,これらの症例の検討も同時に行った.
  • 有山 悌三, 清水 徹郎, 熊谷 明史, 江端 英隆, 岡 敏明
    1999 年60 巻9 号 p. 2458-2462
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は2歳11カ月の男児.激しい腹痛と発熱を主訴に近医を受診し,腹膜炎の診断で当院へ紹介された.初診時,腹部は緊満し,臍部右側に6cm大の圧痛を伴う腫瘤を触知した.血液検査で貧血を認め, AFPは3.246ng/mlと高値を示していた.緊急腹部CT検査で臍部より連続した6×4cmの充実性腫瘤と腹水を認めたため,腹腔内腫瘤の破裂の診断にて緊急手術を施行した.術中所見では血性腹水を認め,臍部より連続した腹膜外腫瘍の腹腔内への破裂であった.腫瘍は正中臍ヒダと連続しており尿膜管原発と考えられた.病理所見ではyolk sac tumorの診断であった.術後化学療法(PVB)を施行し,術後1年目の現在まで完全寛解が継続している.尿膜管原発の yolk sac tumorは極めて稀であるので,文献的考察を含めて報告した.
  • 生田 真一, 上藤 和彦, 市倉 隆, 上野 秀樹, 望月 英隆
    1999 年60 巻9 号 p. 2463-2468
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性. 40歳時,子宮筋腫にて単純子宮全摘術を施行された.平成10年l月,右鼠径部の無痛性腫瘤を主訴に当院受診.右鼠径部に可動性の乏しい,母指頭大の硬い腫瘤を触知した.腫瘤は超音波上1.8×1.6×1.3cm大の低エコー病変として認められ,臨床的に腫脹リンパ節と診断した.同部に対し施行した穿刺吸引細胞診では,リンパ球成分が乏しく,異型性は弱いものの多数の腺上皮細胞を認め,転移性腺癌が疑われた.注腸造影,腹部および経膣超音波,骨盤部CTなどを施行したが原発巣は同定されず,同年3月,右鼠径部の母指頭大腫瘤の切除術を施行した.腫瘤は周囲と強固に癒着していた.組織学的には,周囲の広範な線維化の中に内膜間質を伴う内膜腺管の増殖像が認められ,子宮内膜症と診断された.子宮内膜症発生部位のうち鼠径部は約0.4%と稀で,本例に文献的考察を加え報告した.
  • 蘆田 啓吾, 角 賢一, 村田 陽子, 衣笠 陽一, 浜副 隆一
    1999 年60 巻9 号 p. 2469-2473
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    4例の非外傷性腹壁血腫を経験したので若干の文献的考察を加え,報告する.
    いずれの症例も出血傾向,咳漱,凝固防止薬の内服,腹筋運動などの誘因をもって発症し,治療として血腫除去,ドレナージが施行された.4例中3例はUS, CTなどにより正確な術前診断が得られていたが,血腫の増大や激しい疼痛のために血腫除去,ドレナージが施行された. 1例は確定診断にいたらず,診断目的に手術が施行された.腹壁血腫の治療は保存的治療が原則であるが,そのためには確実な診断が必要不可欠である.確実な診断に至るにはまず本疾患を念頭に置くことと,画像ではUS, CTが極めて有効であると考えられた.特にCTは客観的評価が可能であり, USで不確実な症例には積極的に施行するべきであると考えられた.
  • 石崎 雅浩, 岡野 和雄
    1999 年60 巻9 号 p. 2474-2478
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    横行結腸癌腹壁浸潤,卵巣腫瘍腹壁再発に対し,大腿筋膜張筋弁・筋皮弁により腹壁再建を行った2症例を経験した.症例1は横行結腸から進展するneuroendocrine carci-nomaで横行結腸部分切除,小腸・胃・腹壁合併切除を行い右大腿筋膜張筋弁にて再建した.症例2は恥骨直上のmucinous adenocarcinomaであり,腹直筋を置き換えるように皮下組織まで進展しており,左大腿筋膜張筋皮弁にて再建した.症例1は原疾患の悪化のため早期に失ったが, 2例とも腹部創感染やヘルニアなどの発生は認めなかった.この腹壁再建方法は,感染の危険性などがある消化管再建を伴う手術や治癒遷延が危惧される症例の腹壁再建には適した方法であり,一般外科医にとっても施行可能な腹壁再建方法と考えられた.
  • 植木 秀功, 大矢 明, 須田 武保, 谷 達夫, 二瓶 幸栄, 望月 剛
    1999 年60 巻9 号 p. 2479-2483
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.当院にて胆石の経過観察中に腹腔内嚢胞を指摘された.腹部超音波検査,腹部CT検査, magnetic resonance imagingで,肝左葉と胃の間に,最大径が約5cm前後の嚢胞性腫瘤を認めた.膵嚢胞と術前診断し開腹手術を行った.腫瘍は小網から発生しており,摘出術を行った.組織学的診断はリンパ管腫であった.小網リンパ管腫は極めて稀な疾患であり,自験例を含め本邦では26例の報告があるのみである.これらの報告例を含め,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 及川 昌也, 鈴木 正徳, 海野 倫明, 遠藤 公人, 竹村 真一, 松野 正紀
    1999 年60 巻9 号 p. 2484-2488
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後8カ月を経て発症した汎発性腹膜炎の症例を経験した.初回手術後に膵空腸吻合部縫合不全を発症し,保存的に治癒したが,治癒過程において吻合部の狭窄機転をきたしたと考えられた.残膵の軽度膵管拡張と実質の分節状低吸収域を認め,膵液流出障害による限局性膵炎と考えた.術後外来での経過観察中に突然の腹痛で発症.汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.腹腔内にAmylase高値の多量の膿性貯留液を認めた.炎症は残胃後面の残膵尾部付近に著明であり,残膵の炎症に起因する汎発性腹膜炎と判断した.術後は胃後面に留置したdrainから純粋膵液ではないがAmylase高値の汚染浸出液が持続し,膵管の破綻を疑わせた.本症例は,縫合不全を契機に膵液流出障害を生じ,癒着による腸管内圧亢進て,感染性に膵管破綻を来したと考えられた.
  • 田中 知博, 橋本 雅司, 上野 正紀, 宇田川 晴司, 澤田 寿仁, 渡邊 五朗
    1999 年60 巻9 号 p. 2489-2493
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性. 10歳のとき右上肢に血管腫が出現し増大した. 13歳のとき四肢麻痺が出現し頸髄 (C4~6) の血管腫と診断され椎弓切除血管腫摘出術施行した.このときCobb症候群と診断された. 18歳のとき超音波検査にて腹腔内嚢胞性病変が指摘された.最近になり腹部圧迫感出現し入院した.入院時,右顎部から右胸部に血管腫が多数存在し,上腹部には臍下に達する軟な腫瘤を触知した.腹部超音波検査, CT, MRIで肝臓,右腎臓に接する径14cmの多房性嚢胞性腫瘤を認め,後腹膜より発生したリンパ管腫と診断した.手術所見では黄白色の境界明瞭な径14cm大の嚢胞性腫瘍があり左腎静脈下の後腹膜リンパ管との交通を確認し摘出した.病理組織学的診断はリンパ管腫であった. Cobb症候群に腹腔内のリンパ管腫が合併した報告はなく, Cobb症候群の発生を考える上で貴重な症例と考えられる.
  • 小出 紀正, 水野 伸一, 浅野 英一, 高橋 泰夫, 下地 英機
    1999 年60 巻9 号 p. 2494-2497
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    鼠径ヘルニア内に虫垂が嵌頓することは非常に稀である.今回,鼠径ヘルニア虫垂嵌頓により腹壁膿瘍を形成した1例を経験したので報告する.
    症例は,71歳女性.主訴は右下腹部腫脹. 1996年5月11日右下腹部を打撲し, 5月19日右鼠径部内側より膿の流出を認め来院した.腹部CTで,嵌頓鼠径ヘルニアによる腹壁膿瘍を疑い,緊急手術を施行した.腹壁膿瘍を切開洗浄し,創を被覆した後,下腹部正中切開で開腹した.虫垂先端が鼠径窩に嵌入し,腹腔側に虫垂を整復すると腹壁膿瘍との交通を認めた.虫垂切除術,ヘルニア根治術,腹腔ドレナージ術を施行し,閉腹後,腹壁膿瘍ドレナージ術を施行し手術を終了した.
    鼠径ヘルニア内虫垂嵌頓による腹壁膿瘍合併症は報告がなく,術前診断に難渋した.イレウス症状のない嵌頓鼠径ヘルニアでは,内容が虫垂である可能性も念頭におく必要があると思われた.
  • 笹本 彰紀, 池澤 輝男, 浅野 昌彦, 岩塚 靖, 木村 充志, 小野 靖之
    1999 年60 巻9 号 p. 2498-2501
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性. 52歳時より狭心症,高血圧,糖尿病に対し内服加療を受けていた. 58歳時に腹部大動脈瘤破裂のためYグラフト置換術が施行された. 64歳時には心筋梗塞を発症し冠動脈造影が施行され,同時に施行された血管造影で両側総大腿動脈瘤を指摘された.心筋梗塞後5カ月で心機能が安定したので,手術目的に当科に転科となった.CT検査および血管撮影検査で右側に22×25×30mm,左側に32×35×40mmの紡錘形の総大腿動脈瘤を認めた.破裂の危険を考慮して手術を施行した.両側とも瘤を切開し人工血管置換術を施行した.術後CT検査およびDSA検査でグラフトは良好に開存していた.本症の両側同時発生は稀であり文献的考察を加え報告する.
  • 中口 和則, 古川 順康, 陶 文暁, 森本 卓, 岡島 志郎, 吉原 渡
    1999 年60 巻9 号 p. 2502-2506
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は21歳の女性.下腹部痛を主訴に来院し,直腸指診で後壁に軟らかい腫瘤を触知した. CT, MRI,経直腸的超音波検査で前仙骨部の嚢胞性腫瘤と診断し,経仙骨的腫瘤摘出術を施行した.病理学的検査では,嚢胞壁は重層扁平上皮で覆われ皮膚付属器は認められず, epidermoid cystと診断した.前仙骨部に発生するepidermoid cystの本邦報告例は31例であり,悪性腫瘍や感染を合併する可能性もあり,完全な腫瘍の切除が肝要と考えられた.
  • 長井 一信, 浜口 潔
    1999 年60 巻9 号 p. 2507-2511
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性で,食欲不振・全身倦怠感を主訴に来院した.上部消化管透視で胃はほぼ全長にわたり臓器軸性に捻転した状態で縦隔内へ脱出していた.さらにCT, MRIで小腸,横行結腸が縦隔内へ脱出し,その他に胆石を認めた.また注腸透視で異常な可動性を有する上下行結腸を認めた. upside down stomach, 総腸間膜症,膀ヘルニア,胆石症の診断で, Nissen fundoplication+胃底部・胃後方固定+幽門形成術,虫垂切除術,膀ヘルニア根治術,胆嚢摘出術を施行した.
    本邦におけるupside down stomach症例は極めて稀であり,筆者らが検索した範囲では自験例を含め10例が報告されているにすぎず,また総腸間膜症・臍ヘルニア合併例は他に報告例を認めなかった.自験例は,先天的に結合織の癒合不良や弾力性に問題があったのではないかと推測された.
  • 星野 和義, 佐藤 尚喜, 梶谷 真司, 鎌迫 陽, 阿部 重郎, 岸本 宏之
    1999 年60 巻9 号 p. 2512-2516
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    マムシ咬傷による出血傾向は,播種性血管内凝固症候群(DIC)に起因するものが多いが,われわれは,従来の報告とは異なる経過をたどったマムシ咬傷症例を経験したので報告する.症例は, 71歳,男性で,左第4, 5指を咬まれ,救急車にて来院した.著明に腫脹した咬傷部の減張切開を行っている最中,突然大量の吐血がみられた.緊急上部消化管内視鏡検査にて,食道上部から胃体上部にかけ多発性の出血性びらんが認められた.また,血液検査にて,血小板数が0.5万/mm3と著明に減少していたが,他の凝固系検査は正常であった.血小板数は,翌日には14万/mm3と回復した.咬傷後3日間,記憶がなくなるという意識障害もみられた.マムシ抗毒素血清の投与や対症療法により症状は軽快し,咬傷20日目に退院した.マムシ咬傷では,本症例のように非典型的経過をとることもあり,注意が必要である.
  • 下山 武彦, 東海林 裕, 熊谷 洋一, 芦川 敏久, 桜沢 健一, 杉原 國扶
    1999 年60 巻9 号 p. 2517-2520
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    乳癌術後11年の経過中に発生した重複腫瘍の1例を報告する.症例は57歳女性. 46歳時左乳癌, 47歳時胃癌, 51歳時脳腫瘍に対してそれぞれ切除術を施行した.その後経過観察中であったが57歳時,胸部レントゲン上異常陰影を認め,転移性肺腫瘍と診断し切除した.しかしその原発は乳癌,胃癌ではなく新たに発生したS状結腸癌であった.悪性腫瘍術後の経過観察においては他臓器原発腫瘍の存在の可能性もあることを常に念頭において検索することが重要である.
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