1999 年 60 巻 9 号 p. 2291-2294
気腫性変化を伴う肺手術では術後の空気もれが起こりやすく,肺炎や呼吸不全など重症合併症の誘因となることがある.われわれは気腫性変化を有する肺手術症例53例のGelatin-Resorcin-Formaldehyde (GRF) glueの有効性を検討した. 53例中2例に再手術を必要としたが, 1例はGRF glueを塗布した部分とは別に術後に新生したブラの破裂が原因であった. GRF glue塗布部分からの空気もれが原因であった例は術直後再開胸したl例のみであったが,術中に再塗布を必要とした例は14例と多かった.これらの結果からGRF glueは塗布時まで温度を保ち,充分にホルムアルデヒドと混和する必要はあるが,気腫性変化の強い肺手術に有効と考えられた.