日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸原発悪性リンパ腫の1例
森田 克彦榎本 正満魚本 昌志栗本 典昭永野 克二村山 正毅
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2389-2394

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抄録

術前診断しえた比較的稀な十二指腸原発の悪性リンパ腫を経験した.症例は66歳女性.平成9年6月頃より上腹部痛出現し,胃透視検査で十二指腸球後部に全周性の不整陰影欠損を認めた.胃内視鏡検査では球部から下行脚に移行するあたりに,ほぼ全周性の周提を有する白色調の隆起性病変を認め,生検組織にて中型の異形リンパ球がびまん性増殖し, malignant lymphoma, diffuse medium-sized cell typeと診断された.表在リンパ節は触知せず,白血球および,その分画には異常なく,エコー,腹部CTにて十二指腸壁は著明に肥厚し,膵頭部との境界は不鮮明であった.他臓器に悪性リンパ腫を疑わせる所見はなかった. 7月29日,膵頭十二指腸切除術,リンパ節郭清, Child II法再建を施行した.病理組織所見はLSG分類によるNon-Hodgkin's lymphoma, diffuse medium sized B typeで深達度はm~ss, 胃癌取り扱い規約における#8a, #5にリンパ節転移を認めた.術後VEPA (Vincristine, Endoxan, Prednisolone, Adriacin) による化学療法施行した.術後1年再発の兆候なく健在である.

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