日本臨床外科学会雑誌
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術後糖尿病の改善をみた副腎myelolipomaの1例
日月 亜紀子石川 哲郎小野田 尚佳北原 直人小川 佳成平川 弘聖Suk Chung Yong
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キーワード: 副腎myelolipoma, 糖尿病
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2448-2452

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抄録

副腎myelolipomaは,稀な非機能性腫瘍であるが,高血圧・肥満・糖尿病を随伴することが多く,内分泌異常を伴う症例も報告されている.腫瘍切除により術前にみられた糖尿病が改善した1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.高血圧,糖尿病にて加療中,左副腎腫瘤を指摘された.肥満,空腹時血糖288mg/dlと糖尿病がみられ,血清コルチゾール, 11-OHCSが高値を示した.左副腎に, fat densityからなる8×9cm大の腫瘤が認められ,腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘤は,病理組織学的に副腎, myelolipomaと診断された.術後,血糖値は101mg/dlと正常化し,肥満,高血圧とも軽快した.過去に自験例のように糖尿病の合併例も報告されているが,術後改善したという報告はみられず,本疾患の治療方針を決定するうえで,極めて示唆に富む症例と考えられ,文献的考察を加え報告をした.

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