日本臨床外科学会雑誌
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穿孔をきたした空腸T-cell lymphomaの1例
青竹 利治天谷 博一打波 大藤井 秀則堀内 哲也千葉 幸夫多保 孝典
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2000 年 61 巻 3 号 p. 680-684

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抄録
小腸悪性リンパ腫は回腸に好発し,そのほとんどがB細胞由来である.今回,われわれは穿孔にて緊急開腹術を施行した空腸のT-cell lymphomaの1例を経験したので報告する.症例は73歳女性.平成9年9月30日に腹痛,嘔吐,下痢をきたし近医へ入院した.精査の結果,小腸腫瘍と診断され手術待機中であった. 12月4日上腹部激痛が出現,右上腹部を中心に圧痛,反跳痛および筋性防御を認めた.腹部CT検査では横隔膜下に遊離ガスを認め,穿孔性腹膜炎の診断で当科へ紹介,緊急開腹術となった.トライツ靱帯より約30cm肛門側の空腸に穿孔を伴う腫瘤を触知し,空腸切除術を施行した.病理組織学的検索の結果,小腸原発悪性リンパ腫stage III, intestinal T-cell lymphomaであった.術後約2カ月にて左腋窩,腹部にリンパ節転移が出現した. CHOP療法を開始したが無効であったため, EHOC療法, bleomycin局注に変更,リンパ節は縮小傾向にある.
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