日本臨床外科学会雑誌
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卵巣癌術後孤立性脾転移の1例
山村 浩然八木 真悟山田 哲司北川 晋中川 正昭車谷 宏
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キーワード: 卵巣癌, 孤立性脾転移
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2000 年 61 巻 3 号 p. 779-783

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抄録

“Normal-sized ovary carcinoma”の術後孤立性脾転移の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.平成6年3月23日,子宮筋腫と子宮内膜症に対し子宮全摘術と左付属器摘出術を施行.左卵巣は正常大であったが,病理組織学的に低分化腺癌を認めた.平成8年7月より血清CA125値が上昇し,腹部MRI, CTにて脾門部に腫瘍性病変を認め,卵巣癌の孤立性脾転移と考え平成9年6月26日手術施行.脾門部に腫瘍を認めたが,その他に卵巣癌の再発所見はなく脾摘術を施行,病理組織学に腫瘍は低分化腺癌で,卵巣癌の脾転移と診断された.悪性腫瘍の孤立性脾転移は極めて稀であり,本邦報告例は自験例を含め64例である.また,原発巣が卵巣癌で“normal-sized ovary carcinom”と考えられたのものはなく,本例が最初の報告である.原発癌が卵巣癌の場合には脾摘後化学療法が施行され比較的良好な成績が得られている症例もあり,積極的に脾摘術を施行すべきと考える.

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