抄録
尿膜管嚢胞は,従来稀な疾患とされているが画像診断の進歩に伴い近年その報告は増加している.今回われわれは,若年者に発症した感染性尿膜管嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は22歳の男性.主訴は下腹部痛と熱発であった.触診上,下腹部に腫瘤を認め,腹部CT, 超音波検査により感染性尿膜管嚢胞と診断した.抗生物質を7日間投与したが改善しないため,膿瘍穿刺ドレナージを施行したところ症状および炎症所見が著明に改善した.本症例においては,嚢胞は臍,膀胱のどちらとも交通はなく,嚢胞内容の培養も陰性であった.