日本臨床外科学会雑誌
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横行結腸癌による空腸結腸瘻の1例
四万村 司山田 恭司正木 ルナ桜井 丈伊崎 友利山口 晋
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1005-1008

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抄録

結腸癌による空腸結腸瘻は比較的まれな合併症である.今回われわれは空腸結腸瘻を形成した横行結腸癌の症例を経験したので報告する.
症例は50歳,男性,食欲不振,体重減少を主訴に精査治療目的にて入院.注腸造影,上部消化管造影,腹部CT検査を施行し横行結腸癌による空腸結腸瘻の術前診断のもと手術を施行した.手術所見は横行結腸左側に小児頭大の腫瘤を認め,空腸の一部と膵体尾部に浸潤を認めたため横行結腸切除,空腸部分切除,膵体尾部,脾合併切除術を施行した.また,術前検査にて胆石胆嚢炎も認めていたため胆嚢摘出術を施行した.横行結腸癌の組織学的診断は高分化型腺癌, si. n(-). P0. H0. M(-). stageIIIaであった.結腸癌による内瘻形成例は,文献的に検索した限りでは88例で,小腸結腸瘻形成例はそのうち23例であった.結腸癌による消化管内瘻形成例は組織学的には悪性度が比較的低いことが多く積極的な合併切除により治癒切除が期待される.

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