2000 年 61 巻 4 号 p. 1009-1012
症例は54歳男性,主訴は下痢である.初診時血液検査で貧血があり精査したところ,上部消化管造影,注腸造影で結腸十二指腸結腸瘻を認めた.大腸内視鏡では肝彎曲部付近の上行結腸に2'型の隆起性病変を認めた.十二指腸結腸瘻を伴った進行結腸癌と診断し拡大右半結腸切除術,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術, S5肝部分切除術を施行した.病理診断ではA, 8×6cm, si (十二指腸), P0, ly3, v3, h1, n0, ow(-), aw(-)であった.術後48カ月を経過した現在も再発の徴候はなく健在である.十二指腸結腸瘻を伴う進行結腸癌は限局浸潤型であれば拡大手術により長期生存がえられる可能性がある.