日本臨床外科学会雑誌
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肛門部に発生した顆粒細胞腫の1例
小村 憲一小村 哲也増田 英樹
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キーワード: 顆粒細胞腫, 肛門部
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1027-1030

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抄録

症例は32歳女性. 1ヵ月前より,肛門部にしこりを自覚し,当院外来を受診する.初診時肛門縁近くの1時方向皮下に直径1cmの円形隆起性の結節を認め,軽度の圧痛を伴っていた.切開を加えたところ断面が白色の円形の腫瘤が認められたため,局部麻酔にて切除術を施行した.病理診断にて,顆粒細胞腫との診断を得たが,断端近くに腫瘍細胞の残存が疑われたため,瘢痕部を広範囲に含めた追加切除術を施行した.再度の病理診断では腫瘍細胞の残存は認められなかった.顆粒細胞腫はほとんどが良性腫瘍であるが, 2%に悪性化を認めるといわれている.肛門の診察が手術に際し,皮下や粘膜下に存在する硬結がみられる場合は,顆粒細胞腫も念頭において治療することが重要と思われた.

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