2000 年 61 巻 4 号 p. 1031-1034
症例は39歳男性. 1997年10月に胃上部粘膜下腫瘍の診断で噴門側胃切除を施行,術後病理組織学的に胃gastrointestinal stromal tumor (GIST), uncommitted typeと診断された. 1998年10月の腹部CT検査で肝臓に多発性腫瘤像を認め,さらに腹部超音波検査・腹部MRI検査で胃GIST術後の多発性肝転移と診断した. 12月に肝右葉切除,肝S1・S3・S4部分切除,肝動注リザーバー留置を施行した.病理組織学的には胃原発巣と同様の腫瘍細胞であり,胃GIST, uncommitted typeの肝転移と診断された.肝切除後約1年を経過したが,再発を認めていない.胃GIST肝転移に対しては,胃平滑筋肉腫肝転移と同様,積極的な肝切除が望ましいと思われる.