2000 年 61 巻 4 号 p. 1040-1043
教室では原発性肝癌に対し,腹腔鏡下肝切除術を施行した2例を経験した.両腫瘍とも孤立性で, 1例は肝内側区域(S4),他の1例は右後下区域(S6)に存在していた.トロッカーを計4本挿入し,腫瘍の占拠部位と主要血管との関係を術中超音波検査にて同定した.肝実質の切離は出血量軽減のためマイクロ波凝固を組み合わせ, laparoscopic coagulating shearsで行った.術後,患者は早期の回復が得られた.本術式は,患者にとって良いQOLが得られるが,長期予後の評価についてはより長い期間の経過観察が必要である.