日本臨床外科学会雑誌
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膵頭十二指腸切除術後膵消化管再吻合の3例
新居 利英矢吹 英彦唐崎 秀則富田 一郎稲葉 聡
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1048-1052

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抄録

最近経験した3例の膵頭十二指腸切除術後の膵消化管再吻合症例を報告した.症例1は膵頭十二指腸ガストリノーマにてPpPD-IV C法(膵胃吻合)施行後の繰り返す腹痛のため膵胃吻合離断,膵空腸吻合施行.膵管の開口は確認されていたため,初回手術の際に膵の切断部位および胃後壁の吻合部位に問題があったと考えられた.症例2は下部胆管癌にてPpPD-II法施行.膵空腸吻合縫合不全による出血のため膵空腸吻合離断,膵胃吻合を行った.全胃温存症例での膵胃吻合は容易であった.症例3は膵頭部粘液産生腫瘍にて10年前PpPD-II法施行後の膵空腸吻合部狭窄およびSMA周囲再発例. SMA周囲郭清ならびに胆管空腸,膵空腸吻合の再吻合を施行した.良性例でも積極的に膵頭十二指腸切除術を施行している今日,急性期,慢性期を問わず膵消化管吻合のトラブルは積極的な再手術により改善でき得るものと考える.

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