日本臨床外科学会雑誌
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血栓溶解剤動注療法後に小腸狭窄を来した上腸間膜静脈血栓症の1例
藤田 利枝小原 則博天野 実宮田 昭海河合 紀生子
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1053-1057

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抄録

腹部CT検査にて上腸間膜静脈血栓症と診断し,血栓溶解剤動注療法を行い症状は軽快したが,約2カ月後に小腸狭窄を呈し開腹手術を施行した1例を報告する.
症例は68歳男性.上腹部不快感と腹満感の精査目的で入院後,イレウス症状を呈し,当科紹介となった.腹部CT検査にて上腸間膜静脈血栓症と診断し,上腸間膜動脈より経動脈的にウロキナーゼを1日24万単位, 5日間持続動注した.
症状は軽快し経口摂取も可能となったが, 2カ月後に嘔気・嘔吐を生じ,再びイレウス症状を呈したため開腹手術を行った.開腹時,回腸に壊死性変化を伴った約5cmの狭窄部を認めた.小腸部分切除術を施行し,術後経過は良好である.病理組織所見では潰瘍形成および小腸間膜への穿通を認め虚血性慢性期狭窄の像と診断した.

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