日本臨床外科学会雑誌
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閉塞性動脈硬化症1000例の検討
正木 久男稲田 洋森田 一郎田淵 篤石田 敦久三宅 隆菊川 大樹遠藤 浩一武本 麻美藤原 魏
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2000 年 61 巻 4 号 p. 873-876

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抄録

1976年1月から1998年7月までに経験した閉塞性動脈硬化症(ASO) 1000例を対象に1990年までを前期, 1990年以降を後期にわけ時代の変遷とともに病態や背景因子がどのように移り変わっているのか,さらに外科治療成績が向上したかを検討した.
1) 後期では,高齢者が増加するも,来院時の重症の虚血肢は少なくなり,診断技術の向上が見られた.
2) 後期のほうが,動脈危険因子や併存症が多く認められ,特に糖尿病や腎機能不全が増加していた.
3) 後期のほうが,血行再建例の開存成績の向上や手術死亡率の低下傾向はみられるも,有意の差はなく,多くは2)で述べた動脈硬化性危険因子の増加や内膜肥厚がいまだに防止できないことが大きく関与していると考えられ,遺伝子治療を含めた新たな治療の開発や綿密な管理が必要である.

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